自ら命を絶った26歳医師 背景に過酷な労働…直前1カ月の時間外労働は約200時間 労基署が労災認定してもなお病院は…「過重な労働を課していた認識はない」
将来を期待された1人の医師が自ら命を絶ちました。 追い詰められた背景にあったのは、過酷な長時間労働。 過労死として労災認定されました。 ■【動画で見る】残業200時間 自ら命を絶った医師 見つけたのは「最愛の母」 命を救う医師が命を奪われる現実 二度と同じことが起きないように…、今月から「医師の働き方改革」がスタートするなかで、本当に医療現場は変わるのか。 【働き方改革に力を入れる病院】「日本の医療は仕組みを見直さないと、たぶん、やっていけないと思う」 働き方を見直す現場を追いました。
■病院の主戦力の一番立場の弱い「専攻医」
【高島晨伍さんの母・淳子さん(61)】「小学生か幼稚園ぐらいのとき、『僕、お母さんと結婚してもええよ』って、『しんちゃんが結婚する頃には、お母さんしわしわのおばあさんなってるから無理やで』って言うと、『しわしわでもかまわへん』って」 医師だった高島晨伍さん(当時26歳)は2022年5月、自宅で自ら命を絶ちました。 見つけたのは、母・淳子さんでした。 【高島晨伍さんの母・淳子さん】「うそでしょっと思って、まず最初に顔を包み込んで見て、涙が出ていたら、どうかなってしまうと思ったんですけど、涙もなにもなく…普通の顔をしていました」
医師になって3年目、神戸市にある甲南医療センターで、専門医になるための修業中でした。 晨伍さんが追い詰められていたのは、過酷な長時間労働。 労働基準監督署が調べたところ、亡くなる直前の1カ月の時間外労働が約200時間。 ある日の当直勤務が終わったのは「40時」。 朝から翌日の午後4時まで連続で勤務したことも認められ、労災認定されました。 【高島晨伍さんの母・淳子さん】「(おととし)2月に一度、勉強する時間はないし、仕事に追われているので、どうしたらいいかと、指導医の先生に尋ねたら、『俺は(年)5日間しか休んでいない。そんなん当たり前や』と。あまのじゃくなところがありましたので、私は『休まんといかんよ』と言ってしまっていたんですけど、だから働いてしまったのかなと。『もっと働け働け』って言ってたら、働かなかったのかもしれないと思って」
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