自ら命を絶った26歳医師 背景に過酷な労働…直前1カ月の時間外労働は約200時間 労基署が労災認定してもなお病院は…「過重な労働を課していた認識はない」
さらに自殺した高島晨伍さんと同じ、専攻医の池田大一さん(27)の働き方を見ると…。 この日は日勤からの当直勤務。日中に手術をこなし、夜間は集中治療室を担当します。 当直勤務が始まった当初は、落ち着いていましたが、午後10時ごろ、症状の重い患者が運び込まれ、未明まで処置に追われることとなりました。
当直の時間帯に受け入れた患者を、翌日も主治医として担当する病院が多い中、こちらでは必ず日勤の医師に引き継ぎます。 【専攻医1年目 池田大一医師(27)】「日勤の医師に申し送りできたので、家帰ってゆっくり休もうかなって思っています」 引き継ぎを徹底することで、勤務時間を管理して過重労働から医師を守っています。
【医誠会国際総合病院 峰松一夫診療院長】「(いまは)やることが多くなったんですね。高度な医療が(進んだので)。昔は薬あげて点滴して、ちょっと様子見る。2カ月ぐらいたって、『よくなりましたね、じゃあ退院』って経過を見るのが主だったんですけど。現実問題として、いまの日本の医療は、超過勤務とか過度の労働で保たれているところがあるので、全体として仕組みを見直さないと、多分やっていけないと思う」
■悲劇を繰り返さぬために
長時間労働の末に、死を選ばざるを得なかった高島晨伍さん。 医師である父や兄の背中を追うように、同じ職業を選びました。 【高島晨伍さんの兄】「これとか僕の字なので、同じ本使ってたんだなと」 (Q.お兄さんのこと尊敬されていたんですね?) 「使えるもん使おうぐらいに、思っていたのかもしれないですけど」
甲南医療センターを運営する法人と院長らは、労働基準法違反の疑いで書類送検されています。 遺族は病院には検証と再発防止を求めていますが、いまも説明はありません。 【高島晨伍さんの兄】「どのようにして患者さんに対して、メリットをもたらすのか。どうしてその仕事の中で、大きな成果を残すのかということを、考えないとならないはずなのに、いつの間にか、長く働くということが、目的になっていたのではないかと、自分の働き方からも思います」 【高島淳子さん】「このまま放置していては、逃げたり放置したりしたことで、こういう問題が起きたので、これを明らかにすることによって、後進の先生の命を救うことにもなるかな」 異常な環境に命を奪われた晨伍さん。 二度と同じことが起こらないよう、遺族は訴え続けています。 (関西テレビ「newsランナー」2024年4月3日放送)
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