自ら命を絶った26歳医師 背景に過酷な労働…直前1カ月の時間外労働は約200時間 労基署が労災認定してもなお病院は…「過重な労働を課していた認識はない」
ただでさえ長時間労働が続くことに加え、晨伍さんは専門医になるための学会発表など、研究にも取り組まなければなりませんでした。 【高島晨伍さんの母・淳子さん】「金曜日が学会の締め切り、指導医の先生に出す日やったんですけど、木曜日に当直なんかやっていたら、出せるわけないって。『きょうも何もできなかった。頭が回らへん。きょうも何もできへんかった』ってわめきだしました。鬱で休みたいとかは、ほかの先生も忙しいし、やっぱり言えなかったって」 こうした状況で労災認定されてなお、甲南医療センター側は… 【甲南医療センター 具英成院長】「(医師の仕事は)非常に自由度の高い部分がありますので、基本的には個々の医師でないと、(労働時間は)正確には把握できない。病院として過重な労働を課していたという、認識は持っていません」
■医師の働き方改革 カギは「業務の分散」
2022年の厚生労働省の調査によると、病院に勤務する医師の約2割は、時間外勤務が過労死ラインとされる、月平均80時間を超えていると推計されています。 今月から医師についても、年間の時間外労働の上限が設けられました。ただそれは過労死ラインぎりぎりの960時間です。 これで医師の健康は守れるのでしょうか。 一つのカギが業務の分散です。
大阪市の医誠会国際総合病院では、業務の一部を看護師が代わりに担当し、医師の労働時間を抑える「タスクシフト」に取り組んでいます。 医師の業務を代行できる特別な資格「特定看護師」。 2015年に国がつくった制度で、学校や病院で半年から2年の研修をへて認定されます。 【特定看護師】「僕が麻酔科の先生の代わりに部屋にいることで、その麻酔科の先生は部屋から離れることができるので。実際に自分が特定行為(医師の代行)に入ることで、月にどれぐらいの麻酔科医の時間を空けられているか集計取るが、何十時間という時間になるので、その時間、麻酔科の先生は別の仕事ができているのかなと思う」 働き方改革の実現に活用が期待されている制度ですが、資格を持っているのは、全ての看護職員の中で0.2%程度。(2020年現在)今後の増加が待ち望まれています。
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