株価荒れる中、あなたの新NISAは大丈夫?元ファンドマネジャーがそっと指摘する「心配すべき人」とは#2
「オルカン積んでるから俺の新NISAはOK」と考えている人に、元ファンドマネジャーの澤田信之さんから「それが危険な場合もある」と確認事項が。さっそくご説明いただきましょう。 【元ファンドマネジャーが指摘「新NISAでやらねばならなかったこと」】#2
算数が苦手でもこれだけは。資産運用には必ず踏まえておくべき「公式」がある
こんにちは、元機関投資家・ファンドマネジャーで、現在は文筆業兼個人投資家の澤田です。前稿では「資産運用の5ステップ」をお伝えしました。いわば「もくじ」にあたる部分のご説明でしたので、今回から5回に分けてそれぞれの内容をお伝えします。 【資産運用の5ステップ】 1・資産運用の公式 家計の損益計算書とバランスシート 2・ライフプランとキャッシュフロー表 3・アセットアロケーション 4・コアサテライト戦略とアクティブ・パッシブ 5・実践(元機関投資家の資産運用) 今回は「1・資産運用の公式 家計の損益計算書とバランスシート」について説明したいと思います。 【資産運用の公式】 資産増減 = 収入 - 支出 +( 運用資産額 × 運用利回り ) 一行にまとめるとそっけない感じがしてしまいますが、資産がどれだけ増減するかはこの式を見ると一目瞭然です。税引き後の収入から支出を引いて、運用資産額に運用利回りをかけたものを加えると、その年の資産増減額が決まります。 つまり、資産を増やすには、①収入を増やす ②支出を減らす ③運用資産額を増やす ④運用利回りを上げる、この4択になります。ちなみに「オルカン一択」の方はこのうち④運用利回りを上げる(と期待する)選択肢です。
必ずいちばん最初に向き合ってもらいたい、家計の「損益計算書」
収入を増やすのが難しい時代です。初任給引き上げのニュースがここ2年の春先の話題でしたが、その原資を捻出するために年功賃金カーブはなだらかにされてしまうし、3号被保険者問題で配偶者の賃金も頭打ちです。 企業側は福利厚生などのフリンジベネフィットを抑えていますし、定年延長と同時に役職定年などの制度導入で中堅社員以降の賃金は一世代前に比べて明らかに減少しているのが現実です。働き方改革で労働時間が減少すればQOLは底上げされるかもしれませんが、賃金総額の面ではむしろマイナスです。転職する方も増えましたよね、必ずしも給料は上がらないようですが。 更には社会負担率の上昇(税金と社会保険の合計)が手取りに影響を与えています。財務省の国民負担率統計では、20年前の35%から10年前には40%、令和5年には45%を超えています。手取りの後で払う税金もありますので実感が薄いかもしれませんが、日本人は給料の半分を社会負担する時代が目前にやってきています。 日本人の平均賃金は500万円弱です。大卒で40年働くとして2億円、そして社会負担率50%ともなると一人働きでは到底家族は持てません。生涯未婚率の上昇、賃金の性格差の是正、少子化の加速、いずれも必然としか思えません。そうなると、資産運用の種銭を作るには、支出をうまくコントロールすることが大切になります。