「農道のポルシェ」はサーキットでは遅かった!? スバル「サンバー」から乗り換えスズキ「キャリイ」を150馬力仕様に…軽トラレースは甘くはなかった
エブリィワゴンのターボエンジンに換装してメカチューンを施す
レース経験者が本気を出すとチューニングの内容もマニアックである。友人たちの協力もあり、やれることはすべてやり尽くす考えのレース専用マシンとしてフルチューン化。非力では上位争いどころか、戦いにすらならない現状を考え、キャリイのエンジンを、よりパワーアップが見込める「エブリィワゴン」のターボエンジンに換装。しかも、このエンジンは普通のユニットではなく、本体もきっちり仕上げ、メタルガスケット、鍛造ピストン、ハイカム、ポート研磨等のメカチューンを施し、タービンもオーストラリアGCG製ギャレットタービンに交換。耐久性とともにハイブーストに耐えられるエンジンを完成させた。ちなみにブースト圧の設定は2段階調整式で、ローブースト時に1.2kg/cm2、ハイブースト時1.6kg/cm2をかけるというから驚き。そのMAXパワーは150馬力オーバーになるという。 また、補器類についてはインタークーラーを前置きしているが、これはたまたまあった「スイフト」用がフロントバンパーサイズにぴったりだったという理由で装着。前置きにしたことで配管が長くなりレスポンス面で不利になるが、吸気効率は断然よくなり、パワーダウンも防げるので、現在はパワー重視の前置きインタークーラーとしたそうだ。 サスペンションについては、フロントは驚くことにS13「シルビア」用のストラット式サスペンションがケース長もそのまま使えたので採用。装着しているのはストリート向けのTEIN車高調だが、直巻きバネのみ13kg/mmレートのものに交換している。また、リアについてはGTカー・プロデュース製の強化リーフ仕様になっているとのことだった。
軽トラ改造無制限クラスの頂点を目指す
このクルマを“アポロ”さんは軽トラレース専用車両として作り込んでいる。そのため、レース以外では使わず、サーキットにはユニック付きのトラックに載せて持ってくる。さらに、キャリイの荷台ににはロールバーを装着。本来は室内にセットするべきものだが、アポロさんの場合はユニックで車体を持ち上げ、吊るためのアイテムとしてロールバーをセットしていたのもユニークだった。 このパワーを手に入れたDA63Tキャリイの走りっぷりについて聞くと、以前のサンバーとは比べ物にならないほど凄まじい加速を発揮。まさに軽トラレーシングトラックといった感じでかっ飛ばせる。だけど、ちょっとパワーを出しすぎているかも……とも思うことがあるらしいが、それくらいの方が逆にクルマとしては面白くて好みかなとも“アポロ”さんは語る。 まだクルマは完成したばかりなので、これから細かく煮詰めていき、軽トラ改造無制限クラスの頂点を目指して突っ走る予定だという。 「きっと走らせることでいろいろと気になる点も出てくるので、そういった部分を少しずつ潰していき、自分が操りやすい仕様に仕上げていく。その結果、きっと目標へはどんどん近づいていけるハズなのです」 と“アポロ”さんは今後の意気込みも話してくれた。それにしても、こうしていろいろな話を聞くと、軽トラのサーキット仕様とはマニアックで奥深いことが今回の取材でよくわかった。
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