【この冬、佐渡へ旅したい】佐渡の東海岸へチョコレートの冒険に
世界農業遺産にも認定され、海の幸、大地の稔、森の恵みに満ちた新潟県の佐渡島。移住者が紡ぐカルチャーと地場の文化が、互いの個性をリスペクトしながら隣り合っていた。 【写真】佐渡で手に入れたい絶品土産 今回であったのは、底抜けに明るいショコラティエが手がけるこだわりを極めたチョコレート。自称食いしん坊な手仕事案内人が見つけた、ニッチな旅の手土産を紹介する。
《BUY》「莚 CACAO CLUB」 佐渡の東海岸へチョコレートの冒険に
右手に見えていた海がトンネルを抜けると左手へと移り、心細い小道をひたすら車を走らせる。この先に店があるはずがない……そう思いながらもナビゲーションに従って進むと、かつて「ふるさと会館」だったという建物が現れる。 オープン前、中から姿を見せたのは佐渡形のモヒカンがトレードマークという勝田 誠さんである。佐渡に生まれ、ミュージシャンを目指して上京するも、人生の寄り道で沖縄を目指して自転車旅へ。その途中で出合った尾道のクラフトチョコレートの名店「USHIO CHOCOLATL 」に、すっかり魅了される。 ちょっと立ち寄ったつもりが5年間修行を重ね、その後ショコラティエを目指して南米にカカオ豆の買い付けに向かう。やがて佐渡に根を下ろし、島内でも本人曰く“辺鄙なエリア”である莚場(むしろば)の地に工房を構えた。
使うカカオは、チャイルドレイバーフリー(児童労働をさせない)の農園や地域のものと決めている。仕入れたカカオは豆の状態に応じて焙煎を施し、その日の気温や湿度に合わせて粉砕。こうして板チョコへと仕上げるまで一貫して行う「ビーン・トゥ・バー」のスタイルを貫くことで、豆の個性を最大限に活かすチョコレートが生まれる。 ワインのような豊潤な香りとバニラを思わせる優しい甘さが特徴の「コスタリカ」、ベリーやレーズンのようなフルーティで華やかな酸味が特徴の「ベトナム」、ココナッツやミルクの風味を思わせる「ガーナ」、ヨーグルトやアップルビネガーのような酸味が満ちる「タンザニア」、スモーキーでハーブのような香りに包まれる「トリニダード・トバゴ」、プラムのようなフレッシュさと安納芋のような甘さを併せ持つ「ホンジュラス」。シングルオリジンと呼ばれる単一原産国かつ単一品種の板チョコは、厳選の6種類が揃う。