終末期の患者の「願い」叶える“ラストドライブ” 小学校の卒業式へ…涙と笑顔の再会で伝えた「ありがとう」『every.特集』
延命治療が難しい終末期の患者さんが訪れたい場所。そこに連れて行ってあげようとするボランティア団体があります。今回、末期がんを宣告された“狩野ちゃん”の「ラストドライブ」に密着。行き先は、卒業式が行われる小学校でした。 【動画を見る】児童たちへ伝える“感謝” 終末期患者の願い叶える”ラストドライブ”に密着
■「願いのくるま」で行きたい場所へ
神奈川・相模原市に住む、狩野輝二郎(かの・てるじろう)さん(70)。半年前に末期のがんと診断されました。完治は難しく、痛みを取り除く治療を行いながら、家族と残された時間を過ごしています。 そんな狩野さんのもとを訪れていたのは、ボランティア団体のスタッフです。 スタッフの鈴木蓮さん 「『願いのくるま』といいまして、余命宣告やターミナルケア(終末医療)を受けられている方の“ラストドライブ”をサポートさせていただいております」 「願いのくるま」は、事故などで壊れた車の買い取りや販売を行う会社「タウ」が運営するボランティア団体です。終末期医療を受けている人が行きたいと望む場所へ、車で連れて行くサポートを実施。この6年で、約70件の願いを叶えてきました。
■病気になる前は小学校で勤務
訪問診療の医師からこの団体を知った狩野さん。行きたい場所がありました。 狩野さん 「町田市立町田第五小学校。そこの卒業式」 学校用務員として、病気になる前まで勤めていた小学校の卒業式です。そこには理由がありました。 狩野さんが赴任したのは6年前。娘の咲苗さんは「運動会とかも出てたり、スキー教室に一緒について行ったこともあるじゃん」と振り返ります。狩野さんも「親しい子は“輝ちゃん”って呼んでくれた」と目を細めます。 明るい性格で、子どもたちからも人気だったという狩野さん。しかし去年10月、背中の痛みに突如襲われました。診断は末期の大腸がん。骨や肺などにも転移していて、仕事も辞めざるを得なくなりました。
■闘病生活の励みに…児童からの手紙
そんな入院中の狩野さんのもとに届いたのが、全校児童500人以上からの手紙でした。 咲苗さん 「うれしかったよね」 狩野さん 「うれしかった。自分(狩野さん)を力づけるように書いてるんだよね」 手紙には「狩野さんにもまた放送を聞かせたいです」「応えんしています」「病気とたたかってください」などと綴られていました。 狩野さんを力づけたい―。その思いで書かれた子どもたちの言葉が、闘病生活を続ける励みになりました。そんな子どもたちに、卒業式で伝えたいことがあるといいます。 狩野さん 「子どもたちが自分に声かけてくれた時とか、自分から子どもに声かけた時の話とか思い出すけどね。もう卒業式で最後だから。子どもたちと会うのも。やっぱり『ありがとう』だね」
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