終末期の患者の「願い」叶える“ラストドライブ” 小学校の卒業式へ…涙と笑顔の再会で伝えた「ありがとう」『every.特集』
■本人や医師の情報から注意点を共有
卒業式の4日前。「願いのくるま」では、担当者たちが話し合っていました。 「狩野さん、70代の方で大腸がんなんですけど」「背骨もともと…」「骨転移か…」「車の移動中も気にして、体勢変更とか、こまめに声かけてあげないと」。本人や主治医からの情報をもとに、注意点などを細かく共有していきます。 当日は看護師のスタッフが同行し、体調に変化があれば主治医の指示を仰ぐことになっています。 鈴木さん 「子どもたちにとっても狩野さんにとってもすごく大切な一日だと思うので、それを少しでもサポートできたらなと思ってます」
■「すぐ涙になっちゃうんじゃない?」
卒業式の日。出発直前に、娘の咲苗さんから渡されたのは、卒業生が書いてくれた手紙です。「これ、膝に置いて『ありがとう』って言ったら?」と咲苗さん。いよいよ再会の時です。 狩野さん 「うれしいよ。やっぱり。(式では)すぐ涙になっちゃうんじゃない? あっ、大きめのハンカチ入れた?」 そして、「願いのくるま」のスタッフが到着しました。 狩野さんは、車いすで長時間過ごすのは初めてだといいます。「少し揺れるので、お痛み出たりしたら教えてください」と、車内では看護師がこまめに体調を気遣います。狩野さんは再会が待ちきれない様子です。「どんな顔してるかな、みんな」
■門出を最後まで見届けた狩野さん
出発から約1時間。半年前まで毎日通った小学校に到着すると、「狩野ちゃーん!」という声が教室から聞こえてきました。5年生たちからの熱烈な出迎えです。 看護師に車いすを押してもらい、体育館へ入ります。卒業式が始まりました。視線の先には、6年間ともに過ごした子どもたちの晴れ姿がありました。狩野さんは、しっかりとその目に焼き付けます。 式が始まって約50分。「背中にタオル入れますか?」。長時間同じ姿勢が続いたことで首や腰に負担がかかり、疲れが出ていました。 「頑張ろうね」と声をかけられる狩野さん。体勢を工夫しながら子どもたちを見守ります。子どもたちの門出を最後まで見届けることができました。大きめのハンカチで、目元をぬぐいます。
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