なぜ19歳の笹生優花は全米女子OPで畑岡奈紗とのプレーオフを制し史上最年少Vを果たすことができたのか?
史上初の日本人同士によるプレーオフの末に、新たな歴史がゴルフ界に刻まれた。 アメリカ女子ゴルフツアーの今季メジャー第2戦、全米女子オープンの最終日が日本時間7日未明にカリフォルニア州のオリンピッククラブ・レイクコース(6457ヤード・パー71)で行われ、笹生優花(19、ICTSI)が畑岡奈紗(22、アビームコンサルティング)とのプレーオフを制し、大会最年少となる19歳351日でメジャー初優勝を飾った。 通算4アンダーで並んだ2人によるプレーオフは、3ホール目で笹生がバーディーを奪って決着。フィリピンとの二重国籍を持つ笹生は、日本女子としては1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子、2019年の全英女子オープンの渋野日向子に続く3人目のメジャー覇者となり、優勝賞金100万ドル(約1億1000万円)を獲得した。
プレーオフ3ホール目にバーディーパットをねじこみ決着
カップの手前で左に切れる約2mの上りのラインを完璧に読み切り、ど真ん中から沈めてバーディーを奪取。すでにパーで終えていた畑岡との決着をつけた瞬間に、笹生は両手でガッツポーズを作った。左手にはパターが握られたままだった。 「私の夢は世界一になることでした。全米女子オープンで勝つことでした。そのような瞬間が今週に来るとは思いませんでした。家族にまずありがとうと……」 歴史を塗り替えた直後のインタビューで、家族の存在を切り出した直後のひとコマ。涙とともに言葉を途切れさせた笹生は、ちょっぴり照れくさそうにこう続けた。 「ごめんなさい。こういう(優勝インタビュー)のに慣れていなくて」 首位のレクシー・トンプソン(26・アメリカ)に1打差の単独2位でスタートした、初めて体験するメジャー最終日の最終組は予期せぬ試練とともに幕を開けた。 2番(パー4・375ヤード)で今大会初のダブルボギーを叩くと、続く3番(パー3・191ヤード)もダブルボギー。左右に大きく乱れるショットに「がっかりした」と打ちひしがれ、プレッシャーに押し潰されそうになった笹生を支えたのは、昨シーズンからコンビを組むカナダ出身のキャディー、ライオネル・マテチュックさんのひと言だった。 「緊張していた。なかなか3日間と同じようなプレーができず、ちょっと自分を探しているような感じでしたけど、ライオネルさんが『大丈夫だよ。まだホールは残っている。自分を信じて前へ進めばいい』と言ってくれたことが力になりました」 女子プロゴルファーの小俣奈三香の夫でもあるマテチュックさんは大の日本通で、笹生とは英語でだけでなく日本語でもコミュニケーションが取れる。落ち着きを取り戻した笹生は残されたホールのなかで、インの残り3ホールに特に照準を定めた。