なぜ19歳の笹生優花は全米女子OPで畑岡奈紗とのプレーオフを制し史上最年少Vを果たすことができたのか?
柔道出身だった正和さんの発案で、両足首に重りを装着してランニングやラウンドなど日々の練習に臨んだ。強靱な下半身こそが世界と戦う道になる――父と娘が共有した青写真のもとで飛距離は年を重ねるごとに伸び、いまでは平均飛距離が260ヤードに到達。豪快かつパワフルなショットは、いつしか“女ウッズ”と形容されるようになった。 流暢に操る英語も正和さんの発案で、将来のアメリカ女子ツアー参戦を見越し、ゴルフをはじめた直後からレッスンを受けてきた賜物だ。アイデアを練りながら英才教育を施してくれた、正和さんへ抱く感謝の思いはスピーチで語った言葉だけでなく、表彰式後に2人でトロフィーを抱きながら記念撮影に応じた光景からも伝わってくる。 メジャーのなかでも最高峰のタイトルを獲得した笹生は、今後10年間の全米女子オープンだけでなく、残る4つのメジャーへも5年間出場できる。さらに自身が希望すれば、今シーズンの残りのアメリカツアーメンバーにも名を連ねられる。 今夏に待つ東京五輪へフィリピン代表として出場した後は、日本国籍を選択するとも伝えられている、まだまだ潜在能力を秘めるホープはプロに転向してわずか2年目で、日本を飛び越えて世界と戦っていくための挑戦権を自らの実力で手繰り寄せた。