どうなる?!井岡一翔が統一戦を計画していたアンカハスの王座陥落に失望と困惑…新王者との対戦も選択肢に
プロボクシングの4階級制覇王者で、WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32、志成)との統一戦が内定していたIBF同級王者のジェルウィン・アンカハス(30、フィリピン)が10度目の防衛に失敗して王座から陥落する波乱があった。アンカハスは26日(日本時間27日)、米ラスベガスで同級11位のフェルナンド・マルティネス(30、アルゼンチン)と“対井岡前哨戦”として10度目の防衛戦を行ったが0-3の大差の判定で敗れ、約6年保持していたベルトを失った。アンカハスがV10に成功していれば、6、7月にも日本で延期となっていた井岡との統一戦が行われる予定だったが、そのビッグマッチも白紙となり、井岡陣営が失望と共に困惑するまさかの事態となった。
大差判定負けのアンカハスは契約通り「再戦したい」
これが筋書きのないボクシングの怖さだろう。 王者のアンカハスは、序盤からマルティネスの距離を詰めてくる積極ファイトに苦しみ、何発か強烈な左フックを浴びた。3ラウンドには、左ストレートで、マルティネスをぐらつかせる反撃の見せ場を作り、偶然のバッティングで、挑戦者が出血。両者の激しい打ち合いが続くが、マルティネスの勢いを止めることができず、9ラウンドが終わるとレフェリーが王者のコーナーにきて「大丈夫か?続けられるか」と、試合続行の意思を確認するほどアンカハスはダメージを負った。終盤に一発逆転を狙うが、エネルギーは残っておらず、ジャッジの2者が118ー110と8ポイント差をつけ、残り1者も117ー111で挑戦者を支持する大差の判定で約6年間守り続けてきたベルトを失うことになった。米統計会社「CompuBox」によると、マルティネスは1046発のパンチを放ち427発(41%)を命中させ、一方のアンカハスのクリーンヒットは、816発中192発(24%)しかなかった。 まさかの結果に失望と困惑を隠せなかったのが井岡陣営だ。昨年の大晦日に両者は、統一戦を行うことで合意。記者会見まで行っていたが、政府のオミクロン株対策の水際戦略でアンカハスが来日できなくなって延期となり、井岡は、代替試合として事実上の東洋太平洋、WBOアジアパシフィック、日本の”3冠王者”だった福永亮次(35、角海老宝石)に判定勝利し、アンカハスの結果を待っていた。がだ、まさかの陥落で今年の6、7月に計画されていた統一戦が白紙となった。 井岡は関係者に「(アンカハスは運を)持ってねえな」と苦笑いを浮かべたという。 アンカハスは、再戦条項を契約に盛り込んでおり、試合後には「再戦したい。目標を達成するために全力を尽くす。この戦いで多くのことを学んだ。彼は偉大な挑戦者だ」と、そのオプションを履行することを明かした。 「最高の夜ではなかったが私は戻ってくる。マルティネスは非常にタフな相手だったし、今夜は良いパフォーマンスをしたんだと思う」と、14戦無敗のリオ五輪出場経験もある挑戦者に敬意を示した上でリベンジを宣言した。しかし、完敗だっただけに、ダイレクトリマッチは認められず、マルティネスのV1戦を待ってからの再戦となる。 となるとアンカハスがベルトを取り返すことに成功したとしても、井岡との統一戦は、早くとも年末まで待たねばならない。 しかも、米の専門サイト「ボクシングニュース24」などは「一方的だった今夜の戦いの内容を見る限り、アンカハスは再戦に勝つ可能性が低い」と厳しい論評を与えるなど、見通しは不透明だ。