30周年の「グローバルワーク」が国内外の出店を強化、売上高1000億円目指す
アダストリアが、「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」のブランド30周年記念 事業戦略発表会を開催した。発表会には、木村治代表取締役社長と太田訓執行役員営業第3本部長兼グローバルワーク営業部長が登壇し、アダストリアグループおよびグローバルワークの現状と、2030年2月期に向けた目標と成長戦略について説明した。
現在日本のアパレル業界においてファーストリテイリングとしまむらに次ぐ第3位の売上高を誇るアダストリアは、2024年2月期通期で過去最高となる売上高2755億円を達成。近い将来、グループ連結売上高5000億円を目指すにあたり、同社の成長戦略における主力ブランドとして位置付けているのがグローバルワークだ。1994年に設立し今年で30周年を迎えた同ブランドは、2024年2月期通期に過去最高となる売上高516億円を達成。社内での売上シェアは約20%を占め、コロナ禍で売上が落ち込んだ2021年2月期の338億円と比較して、約1.5倍の成長を遂げた。 太田部長は同ブランドの好調要因として、「売上を上げる店舗設計」と「顧客の声を徹底的に分析・反映した商品」を挙げる。店舗設計では、商品理解を促すPOPの設置を通した「間接接客」による購買促進や、骨格診断・パーソナルカラー診断・商品検索が可能なOMO型ミラーサイネージの導入、独自の店内什器による店頭在庫量の増加といった新たな取り組みを実施。商品企画では、自社EC「ドットエスティ(.st)」や顧客のネガティブな声を反映するAIツール「STAFF VOICE」の活用により、顧客の口コミなどを徹底的に分析し商品に反映した「コア商品(主力商品)」を多数生み出したことが、売上に貢献したという。 500億円の大台を突破した同ブランドが次なる目標として掲げるのは、売上高1000億円の達成だ。「ブランドメッセージの刷新」「コア商品戦略」「国内店舗の積極出店と増床」「海外戦略」の4つの戦略を軸に、2030年2月期の目標達成を目指すという。 まずはこれまでグローバルワークが大切にしてきた理念を改めて伝えるべく、「Live together(ともに生きよう)」というブランドメッセージを新たに策定。常に生活者の隣に存在し、ブランドのルールや理想よりも顧客のためになることを優先して考え実践するという「People First」や、着用者自身にも相手にも“Good feeling(心地よさや好感度)”を与える服の提供を通して人とのより良いつながりを作る「Good Feeling Wear」という同ブランドのものづくりのベースにある考え方を込め、今後の事業展開の軸に据える。 「コア商品戦略」では、顧客の口コミやネガティブなフィードバックを手掛かりにニーズを反映した、「コア商品(主力商品)」の育成と販売をより一層強化。累計販売数400万本超の大ヒットとなった「ウツクシルエットパンツ」をはじめ、とろけるような着心地が特徴の「メルティニット」や、着痩せ効果と着心地の良さを追求した「さらさらリラックスブラウス」、イージーケアかつオン・オフ両シーンで着用できる「アーバンスラックス」といったヒット商品に次ぐ新たな主力商品を育成するとともに、店頭や広告、オウンドメディア、公式ECなど全方位におけるプロモーションを強化することで、売上拡大を図る。 「国内店舗の積極出店と増床」では、従来のような郊外だけではなく、今後は国内好立地の主要都市への出店にも注力。2025年春には旗艦店第1号を東京・銀座にオープンするほか、2029年までに店舗数を現在の200店舗から270店舗まで拡大を予定している。太田部長は「これまでは郊外のショッピングセンターを中心に出店していたものの、都心部や主要ターミナルにもまだポテンシャルを感じている。現状は100坪以下の店舗が多いが、ありがたいことにそれでは手狭になってきている。今後の出店では150~200坪、旗艦店はそれ以上の規模での展開を考えている」と言及。なお、郊外と都心店舗で特に商品の差別化などは行わず、「オンにもオフにも着られる」という同ブランドの商品が持つ強みをそのまま活かして展開していくという。 「海外戦略」としては、ブランド全体の売上向上のため、GDP成長率の高いASEANを中心とした新規国への出店を強化。2025年中にフィリピンやタイへの進出を予定しているほか、現在12店舗を展開し売上好調な台湾でも、2025年春開業予定の「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと台湾南港」への新規出店が決定している。2030年2月期には、現在の4倍となる海外売上100億円、売上比率10%の達成を目指す構えだ。