延期のNBA日本人対決が4月5日に実現?!2人を教えたコーチが語る「八村塁と渡邊雄太が存在感を示せているワケ」
またトラッシュトークされると、やり返すのは渡邊なのだそうだ。「どちらもトラッシュトークはしない」と話すシンプリス氏だが「決して多くを返すわけではないが、雄太は言われたら言い返す」と明かした。今シーズン前のトレーニングでその相棒だったのがセルティックスのルーキー、ペイトン・プリチャード。 日々厳しい練習をともに重ねる中で渡邊との友情を深めたプリチャードは、スリーポイントを8本中6本成功させるなど20得点しラプターズを破った11日の試合後「僕は雄太の大ファン。彼のプレーが好きなんだ。今季ラプターズでベンチからエネルギーを持ち込んでいる。彼はこのオフ、ともに汗を流した僕のブラザーだ」と声を弾ませ、渡邊とのトラッシュトークについては「すべては愛情だよ。僕らはああやって、お互いを高め合っていた」と屈託のない笑顔を見せた。 八村は、性格はとびきり明るいが、トラッシュトークの挑発には乗らず、ひたすらプレーするタイプのようだ。そんな八村が、芯の強い面を見せたことがあった。大学3年時のNCAAトーナメント(全米大学選手権)を終え、NBA入りを決意したあとのことだ。 通常大学の卒業を待たずにドラフトの対象となる選手は、そこからプレドラフト・ワークアウト(ドラフトを前に招待を受けたチームの首脳陣の前でプレーや技能を披露。面接もある)などに向けてのトレーニングに専念し、勉学は後回しにするパターンがほとんど。しかし八村は、学校の方針に従いゴンザガ大での後期を終わらせるために月~木曜日はワシントン州スポケーン市にある大学で授業に出ながら個人で練習し、金~日曜日はワッサーマンの事務所があるロサンゼルスに飛行機で約3時間かけて移動し練習を積む日々を繰り返した。 ちなみにロサンゼルスとスポケーン間の直行便は一日1本のみ。ロサンゼルス行きは早朝便で座席数が100席もない小型機。八村の身長だと窮屈で、体力的にもかなり厳しかったことが簡単に想像できる。 しかし八村には、いつかちゃんと大学を卒業したいという目標もある。その意味でも3年生の授業をしっかり終えてから迎えた6月のドラフトは、けじめをつけて進んだ次の舞台。勉強でトレーニングの時間を犠牲にしたとはいえ、ドラフトが近づいた時には「一段と上手くなった」と代理人事務所のスタッフが言うほどバスケットにも熱心に取り組み、1年目からウィザーズに欠かせない戦力となった。 今オフ、二人はピックアップゲームでマッチアップしたり、同じチームでプレーしたりすることがあった。ピックアップゲームとはいえ、エリートが集まる場。負ければサイドから他チームのゲームを見なければならないため、毎回かなり激しい戦いだったという。そんな中、渡邊とマッチアップした時は「燃えるものがあったのか」と八村に訊いたところ「もちろん。僕と雄太さんは日本のバスケを背負っていく立場。切磋琢磨して同じ世界トップのリーグでやっているので、そういうところでは凄く意識するところはあります」と話した。