なぜ八村塁はNBA挑戦1年目から成功しているのか?
ワシントン・ウィザーズの八村塁(21)がNBA挑戦1年目から着実な進化を遂げている。現地時間14日には、メンフィス・グリズリーズの渡邊雄太(25)とのNBA史上初の日本人対決を実現。同試合の第2Q、残り10分13秒に渡邊が同試合初めてコートに立つと、同残り7分42秒にスターター出場のあと一旦ベンチに下がっていた八村が再出場し、残り6分33秒までの1分9秒をともにプレー。残り6分43秒に八村が右ウィングでパスを得てプルアップシュートに持ち込んだが、八村にぴったりとつき、左手を高く伸ばした渡邊の前にエアボールに終わった。同試合で10得点し、8試合連続二桁得点をマークした八村は、「少しの時間だったけど、歴史になる大きなこと。良かったと思う。これから何回も対戦していくと思うので、ちょっとだけど出来て良かった」と話し、渡邊は「彼の場合はああやってスターターでエースの一角として試合にこれから出続けると思う。あとは僕がどれだけ成長してコートに立てるか。自分次第かなと思います」と話した。 華々しいNBAデビューを飾った八村は、レギュラーシーズン82試合の約4分の1を消化した。時差を伴う移動を含む過密スケジュールの中、時には思うように力を発揮できないこともある。 しかし、それはNBAのどの選手でもあること。そんな状況下でベテラン選手はいかに安定した力を発揮できるか、また八村のような1~2年目の若手は、いかに学び向上に繋げていけるかが問われる。そして八村は、着実に前進している。 フェニックス・サンズのリカルド・フォイス選手育成コーチは「何も驚きではない」と言う。フォイス・コーチは昨季までゴンザガ大でゲーム分析を担当していた。八村塁が日本から来たばかりの1年生の時から気にかけてくれていた存在だ。 11月27日、八村がワシントン・ウィザーズのルーキーとしてフェニックスを訪れた時には、お互い「やっとこの日が来た」と言わんばかりの笑顔で再会を喜んでいた。 「彼はNBAでこれだけ出来る選手だった。ここにくるまで多くを乗り越えてきた。彼はこのレベルでどうプレーすればいいかわかっている。だから彼の今の姿は予想できた」と誇らしげな表情を見せた。 ウィザーズは11月26日から12月1日までの6日間、4試合の遠征に出た。26日はリーグトップのディフェンス力を誇るデンバー・ナゲッツ、27日はリーグ有数の司令塔リッキー・ルビオを獲得し弱小球団からついに脱出したサンズ、そして29日がレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスというスーパースターを擁するロサンゼルス・レイカーズ、12月1日がリーグトップ級のスター、カワイ・レナードとポール・ジョージを抱えるロサンゼルス・クリッパーズとの戦い。サンズ以外の3チームは、今季王者の有力候補だ。 この4試合で八村は、様々な側面を見せた。自らの力が発揮できずに終わった試合、ディフェンス力で縁の下の力持ちとなった試合、自分よりも格上の相手に全く動じなかった試合、爆発的な攻撃力を見せてチームを引っ張った試合を披露した。