「巨人と阪神の優勝はない」球界大御所が激辛予想した根拠とは?
2つ目の理由は2年目を迎える佐藤を新4番に指名した点だ。 「佐藤は去年の後半は弱点を攻められて苦労したが、今年のキャンプ、オープン戦を見る限り成長した。センター返しのタイミングの取り方ができ始めて、重心の位置、体重移動の仕方が良くなった。ホームランは24本を打った昨年以上は打つだろうし三振が減りヒットが増える。だが4番を打たせるのはまだ早い。楽なところで打たせてあげたほうがより力を発揮できるだろう。4番は大山を固定すればいい。なぜ彼への評価が低いのかが理解できない」 広岡氏は、オープン戦でランキング3位となる打率.327の数字を残し、三振は6つしかなかった佐藤の進化を認めたが、4番起用は時期尚早だと懸念している。 そして3つ目の理由が矢野監督の求心力に対する不安だ。 「キャンプの初日に指揮官が今季限りの退任を公表することなど考えられない。辞める監督のために花を持たせたいと選手が頑張るよりも、ひとつ何かでつまずけばガタガタとチームが崩れる危険性の方が大きいだろう。ペナントレースには、必ずここ一番という勝負どころがやってくる。そこで重要なのは指揮官の統率力であり求心力なのだ。いなくなる監督に求心力を期待できるだろうか?」 広岡氏はV奪回を狙う巨人についても厳しい見方をしている。オープン戦の序盤には、「このままなら最下位」と警告を発したが、結局、ヤクルトとともに最下位に沈んだ。開幕を目前に控えても「巨人も今のままでは優勝は無理」と容赦ない。 原監督はローテーにドラフト3位のルーキー赤星、2年目の山崎、3年目の堀田を抜擢する大胆なプランを立て、ブルペンにもドラフト1位の大勢を加えた。だが、広岡氏は「その構想が甘い」と批判した。 「プロ1、2年目の投手にすがるようなことはナンセンス。彼らでローテーを回そうとする考えが甘すぎるのだ。戸郷や高橋はなぜ成長しなかったのか。秋季、春季と、2度のキャンプで監督、コーチは何を教えていたのか。そこに巨人の問題点がある。投手陣では菅野が確実に勝ちを計算できないと苦しい。先制点を許すケースが目立つので、そこが修正点。オープン戦では上体だけでコントロールしており下半身主導のピッチングができていなかった。もっと走り込まなければダメだ。まだまだ老け込む年齢ではない」 オープン戦のチーム打率.215は12球団最低で「1番問題」を最後まで解決できなかった。当初1番で起用されていた丸が打率.235と不振で、成長が期待された松原も打率.194と伸び悩んだ。 4番の岡本がオープン戦でトップとなる7本塁打、打率.304と一人気を吐き、20キロ増量した中田も打率.325、3本、8打点と復活の兆しを見せたがキーマンである坂本が脇腹を痛めて開幕に間に合わなくなった。新外国人ポランコの評価は高いが、蓋を開けてみなければわからない。 広岡氏も打線の整備ができていないことを問題視した。 「岡本一人では得点にならない。中田のなみなみならぬ決意は伝わってくるが、あれだけ体重を増やして1年間スタミナが持つのだろうか。坂本の故障は痛すぎるし、新外国人をアテにするようではダメだ。若手が育っていない理由を原監督と球団が共によく考える必要があるだろう。こういうときこそ打線をある程度固定して我慢すべき。丸の実績を信用していい。7番では7番のバッティングをしてしまう」 ではセの頂点に立つ球団はどこなのか。