マイホームの「広いお風呂」は一生後悔する? 家づくりのプロが「安易に広くするのは要注意」と断言するワケ
設備はシンプルなものがいい
夢のないことばかりをお話しして、「せっかく新居ではお風呂を楽しもうと思っていたのに」と、ガッカリしたかたがいらっしゃったらごめんなさい。もちろん、お風呂にこだわったおうちづくりをするケースもあります。たとえば、浴室の窓に面した外の景色が特別に素晴らしいものであるとか、日々のランニングコストなどまったく気にする必要がないほどお金に余裕がある、などです。ただ、かなりの少数であることは間違いありません。お風呂につながる脱衣所やランドリースペースなどは生活感が出やすいため、その一帯すべてをホテルライクにしなければお風呂のスタイリッシュさが映えないという課題もあるからです。 このようなことをお話しすると、「せっかくお風呂にこだわってもお風呂に入っている時間にしかそれを楽しめないし、じゃあ、別のところにそのお金や面積をまわしたほうがいいかも」と多くの人は考えるようになります。リラックスするのは他の場所でも叶えることができます。 お風呂は汚れを落とす場所であり、掃除の手間のかかる場所です。であれば、家事の手間が最小限になるよう、設備はシンプルで機能的なものを選ぶのが正解だと私は考えます。 ちなみに、お風呂やトイレをはじめとする水まわりの設備については、ショールームでは最新のアイテムを紹介されることから、オプションの機能を追加したくなる人がほとんどだと思います。しかし、センサーや自動機能などの機械ものは故障しやすいことを念頭に置いておいてください。利用頻度や使い方にもよりますが、メンテナンスも自分では難しいうえ、故障した際の修理費用もばかになりませんので、数年後に結局交換する(買い替える)ことになったという話をよく聞きます。 電機製品は便利ですが、長持ちするものはそうそうありません。「センサー式」「自動水栓」「スマートキー」など、住宅の機能を自動化するオプションはたくさんありますが、よくよく考えて選択しましょう。アナログな仕組みのもののほうが長持ちすることは間違いありません。
【Profile】内山 里江(うちやま りえ)
一級建築士 株式会社コモドデザイン代表 1972年、高知県に生まれ、12歳まで愛媛県で過ごす。子供の頃、建築家・宮脇檀氏の設計で建てた父の友人の家に感動し、いつか自分も建築家になることを夢見る。山口県の工務店に勤務して実地で経験を積み、一級建築士になる。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザイン。「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、付加価値を高める設計を提案し続けている。
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