マイホームの「広いお風呂」は一生後悔する? 家づくりのプロが「安易に広くするのは要注意」と断言するワケ
一日の汚れと疲れを洗い流す場所、「お風呂」。よりリラックスできる場所にしたいと、安易に“広いお風呂”をつくるのは要注意! 一級建築士・内山里江さんの書籍『家は南向きじゃなくていい』より、家づくりのプロが伝えたい、お風呂にまつわる“理想と現実”についてご紹介します。 「これはひどすぎる…」愛妻の希望を叶えた1億円のマイホームに“失望”したワケ
お風呂は汚れを落とす場所
一日の汚れと疲れを洗い流す場所、「お風呂」。家を新築するに際し、よりリラックスできる場所にしたいと考える人もいるかもしれません。しかし、安易に広くするのは要注意です。トイレや洗面台の話と重複しますが、お風呂はとにかく汚れやすい場所です。こまめな掃除が必要であり、しかもバスタブのみならず床、壁、あるいは天井と、掃除範囲も大変広いです。通常の規格サイズ以上に大きく・広くすることは、家事負担の観点からあまりおすすめできません。また、限りある面積を浴室で多めに使うと、他のスペースにしわ寄せがいきます。他のスペースを削ってでも浴室を広くするほど、入浴に思い入れがあるでしょうか……?
広くするとランニングコストも上がる
第一、戸建て住宅の浴室は賃貸アパートやマンションと比較して広めにつくられています。特別に大きく・広くしなくても、規格サイズで十分広いのです。それ以上に大きく・広くしようとすると、規格外になりますので建築の段階でコストが上乗せになります。また、バスタブが大きいと湯量もそれだけ必要になるため、日々の水道代とお湯をわかすガス代や電気代も多くかかります。毎日入浴される人が多いでしょうから、イニシャルコスト(初期費用)のみならず、日々のランニングコストまで高くなってしまうのはあまり嬉しいことではありません。 「子どもと一緒に入るから広いほうが助かる」とおっしゃる人もいますが、お子さんと一緒に入浴する期間はほんの数年です。そのわずかな数年のために、お子さんが巣立った後も続くお風呂掃除に通常以上の労力を費やしたり、他のスペースが狭くなったりするのは、ちょっと考えものではないでしょうか? ちなみに、細かすぎる話で申し訳ありませんが、洗い場が広いとシャワーホースも長いものを付ける必要があります。掃除の際に届かないからです。このシャワーホースも日々の入浴で汚れたりカビが生えたりしますので、長ければ長いほど掃除の手間がかかります。