【バレー】秋本美空(共栄学園高)が最後の春高へ「彼女の3年間がすべて出る」 【共栄学園高 中村文哉監督インタビュー】
第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)が1月5日(日)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。共栄学園高(東京)の中村文哉監督のインタビューをお届け。フルセットの激戦を制し、都第3代表の切符をつかんだ春高都代表決定戦で得られたもの、そして2年生時に日本代表に選ばれ、いよいよ最後の戦いを迎える秋本美空キャプテンへの思いを語った 【春高女子トーナメント表】
春高都代表決定戦で大きな収穫
――現3年生が1年生のとき、中村監督は「(メンバーが)そろっている」と言っていました。この3年間を振り返ると、成長はいかがでしょうか? 技術的な底上げはもちろんできていると思いますが、気持ちの部分では育ちきれていません。そこが育っていたら(今年度の)インターハイも絶対に出ているし、そこは悔いが残るといえば残りますね。もちろん全員がそうではありませんが、キーマンに限って弱気だったり、自分で自分を追い込めないところはあります。 彼女たちの中では成長している感覚はあると思いますが、共栄(学園高)の監督としては物足りないところはたくさんあります。昔のようにこちらから無理矢理やらせるのではなく、自分たちでどう追い込むかが大事になってきて。そういうところでは「もっとやれよ」と(感じる)、まだ甘いところはあります。 ――3年生中心のチームですが、お互いに要求し合えていない部分もあるのでしょうか? 彼女たちなりにやっているとは思いますが、歴代の選手を見るとまだ足りません。そんな中で、木村響稀はちゃんと追い込みますね。自分に厳しく、他人にも厳しく、取り組み方が素晴らしい。だからこそ(春高東京都代表決定戦で)レギュラーに抜擢しました。彼女をコートに入れたことでチームが安心しました。 ――その春高都代表決定戦では文京学院大女高との3位決定戦を2-1で制し、本戦出場を決めました。試合後の中村監督の涙にはどんな意味が込められていましたか? とにかくよかった、って(笑) でもぶっちゃけ、中身が育っていないので、予選が始まる前から「負けるんだろうな」と思っていました。だから、準決勝で成徳(下北沢成徳高)にあれだけ善戦したのは(1-2で敗戦)いい意味での誤算でした。文京(文京学院大女高)戦でああいった試合になるのは重々承知で。絶対にサクッと勝たせてくれないし、負けるかもしれない、という思いはほんとうにありました。 ――ただ、競った試合で勝ちきれたことは大きな経験になったと思います そこはプラスですよね。いかんせん、1年生の山下(裕子)にとって自信がつきました。初スタメンだったので、ギャンブルみたいなものでしたが、ほんとうに入れてよかったと思います。いちばん大事な試合でいきなり出したので、あれだけ活躍できたのはうれしい誤算でした。 ――34-32で奪った第2セットは、得点を決めて涙を流しながらプレーしていました あれでいいんです、彼女は。ほんとうにあんなに決まるとは思わなくて、よく頑張りましたね。 やっぱりああいう子(身長は183㎝)を育てていかないといけません。3年生でメンバーを固めるのはもちろん考えましたが、ほんとうに夏に頑張って、すごくよくなってきていたので。その結果があの舞台での活躍につながったのかなと思います。