【京都】話題の写真展「KYOTOGRAPHIE 2024」で見るべき7つの展示
柏田テツヲ 「空(くう)」をたぐる
建仁寺の塔頭、両足院で展示されたのは、シャンパンメゾン、ルイナールのアーティスト・イン・レジデンスに参加した柏田テツヲの作品だ。柏田は昨年9月に10日間、シャンパーニュ地方ランスに滞在し、撮影とリサーチをした。世界的な気候変動の影響が葡萄畑にも及んでおり、1℃気温が違うだけでワインの出来が大きく左右するという話を聞き、目に見えないもののメタファーとして、糸で蜘蛛の巣を作って葡萄の枝にかけ写真に収めた作品も。開け放った障子の外に広がる日本庭園の緑との一体化を目指した展示だ。 @両足院 Ruinart Japan Award 2023 Winner, Presented by Ruinart
イランの市民と写真家たち あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──
2022年9月にイラン人の若い女性が「イスラム的でない」という理由で警察に拘束されたまま死亡した事件があった。このことに端を発し、女性のヒジャブ着用義務とあらゆる不公平や差別に対する抗議デモが勃発。当局の弾圧により500人が死傷、8人が処刑された。ヒジャブを被らない勇気ある女性のポートレートや、デモの様子を収めた匿名の写真・映像を、フランスの『ル・モンド』紙に勤務する女性記者とフォト・エディターがキュレーションし展示している。報道統制の下、イランではSNSで写真をアップすることは自分の身を危険に晒すのと同義だ。世界に配信されない現実と、今なお自由・人権への闘争が存在することを思い知らされる。 @Sfera In collaboration with Le Monde
ジェームス・モリソン 子どもたちの眠る場所
ケニアで生まれ、イギリスで育ち、現在はヴェネチアに在住する写真家ジェームス・モリソンによる、世界中の子どもたちとその寝室をテーマにした作品。好きなポスターを貼り、おもちゃやぬいぐるみが置かれた寝室には、子どもたちのアイデンティティと物質的・文化的な状況が刻み込まれているだろうと考えて始めたプロジェクトだったが、撮影を進めるにつれ、子ども専用のベッドルームがあること自体がどれほど恵まれたことであるかを思い知らされたと作家は語る。戦争や紛争、自然災害、貧困、難民危機などにさらされた国々で撮影されたさまざまな子どもたちの寝室の写真と、添えられたキャプションに目が釘付けになる。 @京都芸術センター Supported by Fujifilm 京都国際写真祭 KYOTOGRAPHIE 2024 会期:2024年4月13日(土)~5月12日(日) 会場:京都市内各所 BY MARI MATSUBARA