【京都】話題の写真展「KYOTOGRAPHIE 2024」で見るべき7つの展示
一方、潮田登久子の「冷蔵庫/ICE BOX+マイハズバンド」。1981年に夫がどこからか手に入れてきたというスウェーデン製の大きな冷蔵庫を撮影したことをきっかけに、友人宅などの冷蔵庫を閉めた状態と開けた状態、2点セットで撮影し続けた《冷蔵庫/ICE BOX》シリーズでは、中に詰め込まれた食品の寡多や種類、扉に貼られたマグネットや走り書きなどを通して、持ち主の食生活はおろか生きざままで透けて見えるようで面白い。 《マイハズバンド》は、1978年から85年ぐらいまで暮らした古い洋館での生活と家族を捉えたシリーズ。未発表だったプリントが2019年に自宅整理で発見され、2022年に同名の写真集が刊行された。その中の一部が今回展示されている。潮田が捨てられずにとっておいたおもちゃや雑貨などの現物も展示されている。 @京都市京セラ美術館 本館南回廊2階 Supported by KERING’S WOMEN IN MOTION
川田喜久治 見えない地図
今年91歳になる日本写真界の巨匠、川田喜久治は現在も日々インスタグラムに写真をアップするなど、意欲的に活動している。戦後を象徴する《地図》シリーズ(1960-65)、戦後から昭和の終わり、世紀末までを写した《ラスト・コスモロジー》、1960年代に始まり近年同タイトルで新たに取り組んでいる《ロス・カプリチョス》の3タイトルを本展では一望できる。特に広島・長崎の原爆投下と敗戦の歴史を記号化しメタファーとして作品に昇華した《地図》のシリーズは、60年代のヴィンテージプリントを2000年代にサイズを変えて焼き直したり、デジタル化して和紙にプリントしたり、メディウムを変えながら新たな図像として発表する姿勢に飽くなき創作意欲がうかがえる。映画『オッペンハイマー』が話題となっている今、さまざまなことを考えさせられる作品群だ。 @京都市京セラ美術館 本館南回廊2階 Supported by SIGMA