日銀・黒田総裁会見1月21日(全文1)サービス消費で下押し圧力強まる
量的・質的金融緩和を継続
今回の見通しでは、感染症の影響は先行き徐々に和らぎ、見通し期間の終盤にかけておおむね収束していくと想定しています。加えて、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、金融システムの安定性が維持される下で、金融仲介機能が円滑に発揮されると考えていますが、これらの点には大きな不確実性があります。その上で、リスクバランスについては経済・物価のいずれの見通しについても感染症の影響を中心に下振れリスクのほうが大きいとみています。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。また、引き続き新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムや、国債買い入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの積極的な買い入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていきます。 その上で当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。以上です。
追加的な企業支援の必要性は
朝日新聞:ありがとうございます。2問目ですが、今月、緊急事態宣言が発令されたことを踏まえまして、その経済とか企業活動への影響についてお伺いしたいんですけども。特に昨年12月、前回会合で新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長などを決定されましたが、その後の経済情勢の変化を受けて、追加的な企業支援の必要性などについて総裁のご所見をお伺いします。 黒田:感染症の再拡大の影響から、すでに11都府県に緊急事態宣言が発出されておりまして、対面型サービス消費を中心に、経済には下押し圧力が強まっております。もっとも、現時点では銀行買い入れやCP・社債発行などの外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されております。政府と日本銀行の資金繰り支援策は、金融機関の積極的な取り組みとも相まって効果を発揮していると考えております。前回会合では特別プログラムの期限延長と運用見直しを行うことで、引き続き企業等の資金繰りを支援していくことを決定しております。日本銀行としては、このプログラムを含めた3つの柱による現在の金融緩和措置をしっかりと実施していくことが重要だと考えております。 もっとも、企業等の資金繰りには依然として厳しさが見られております。また、感染症の再拡大が経済や金融に及ぼす影響には大きな不確実性があると認識しております。従いまして、先ほど申し上げたように感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じるという方針であります。