ペルム紀末の生物大虐殺の犯人は? 過去の地球温暖化から現在の環境問題を考える
地球の温暖化現象は、現在最も深刻な国際問題の一つといえるでしょう。その主な原因は、人類による大気への二酸化炭素などの放出にあると考えられています。 短い鼻、太古の奇妙なゾウ・ゴンフォテリウムは何食べた?ゾウ進化史新研究 しかし人類がまだ存在していない太古の昔にも大規模な温暖化現象は繰り返し起きているようです。それでは、いったい何が温暖化を引き起こしていたのでしょうか? 古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ大自然史博物館研究員・地球科学学部スタッフ)が、推理小説の探偵さながらにその謎に迫ります。
ポーランドで開催されたCOP24
2018年12月2~14日、ポーランドのカトヴィツェにおいて地球規模における気候変化のパターン、そしてその対策・予防にあたる枠組の設定に関する「国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)」が開かれた。このニュースはすでに耳にされただろうか? 具体的には国連が主導する「環境と開発に関する国際連合会議」──通称「UNCED」(United Nations Conference on Environment and Development)──と呼ばれるものだ。世界各国の政府レベルの要人や関連分野のトップ研究者が多数参加した。 このUNCEDが主催する一連の環境問題に関する会議は、1992年にブラジルで初めて開催されて以来、継続的に行われている。具体的な狙いはまず世界各国が政府レベルで「地球温暖化現象の傾向」を最新のデータなどをもとに認識すること。そして温暖化の源とされる二酸化炭素などの温室効果ガスの「排出量の規約(ガイドライン)」を議論し目標値を定めることが挙げられる。 例えば1997年に出された(有名な)京都議定書は、このUNCEDを中心とする環境問題ムーブメントの礎にあたる重要な規約を提示した。2005年2月に発効した時の締約国(機関も含む)の数は192。その後、例えば2015年のパリ協定にはなんと196の国と地域が参加して、その国際的な影響力は年々増しているといえる。 余談だが北米の大国の一つは例の新しい大統領の下、このパリ協定におけるガイドラインそしてUNCEDから離脱する道を選んでいる。この是非は今回の記事の主旨から大きくそれるので、その道の識者の方にゆだねておく(「君子危うきに近寄らず」という意味深なフレーズを思い出した)。しかしこうした事実は基礎知識として知っておいたほうがいいかもしれない。 そして、昨年12月のポーランドでの会議には約200カ国が参加した。COP24の具体的な二酸化炭素などの排出量ガイドラインやその管理組織であるUNCEDなどに興味のある方は、「全国地球温暖化防止活動推進センター:Japan Center for Climate Change Actions (JCCCA)」のページをぜひのぞいてみていただきたい(そして、「知識は力なり」というフランシス・ベーコンの言葉を今一度かみしめていただきたい)。 さて地球の温暖化現象は、近い将来「深刻なレベル」にまで達するのだろうか? 温暖化の直接の要因は、我々の自動車などから排出される二酸化炭素などの「温室効果ガス」によるのだろうか? それとも何か他の「自然的な要素」も起因しているのだろうか? この三つの大きな問いかけに対する答えは、読者の方それぞれにゆだねておく(この連載の主旨──「40億年の生物進化史・地球環境の変遷史におけるメッセージ」──からかなり脱線する恐れもある)。