外遊びが減少。多世代が「遊び」でつながる地域のコミュニティ拠点としての「冒険遊び場」が必要な理由とは?
インクルーシブな居場所が、未来を創る力を育む
――PLAYTANKが運営する外遊び場で、共通して力を入れていることはなんですか? 中川:「遊ぶ」でつながる「地域のコミュニティ拠点」になることです。特に、幅広い世代が集う冒険遊び場/プレーパークでは、世代を超えて地域の子どもと大人がつながることを目指しています。例えば、自分の親以外の保護者や、近隣在住のシニア世代の方との交流ですね。 冒険遊び場/プレーパークで働く専門スタッフ「プレーリーダー」は、大工仕事が得意、生き物に詳しいなど、さまざまな特技がある大人と子どもが交流できるように努めています。親や先生にも話せないことがあっても、楽しい時間を共有した師匠・仲間でもある大人には、話せるということもあるそうです。 中川:また、冒険遊び場/プレーパークは、不登校の子や発達凸凹(はったつでこぼこ)の子も遊びに来ていますが、そういう子たちだけを集めることはしていません。誰でもOKで、無料で自由で楽しい。ただ、「遊ぶ」で人と人がつながる場です。 だからこそ、いつのまにかインクルーシブな場所になって、みんなの居場所にもなる。そして、子どもたちはさまざまな人や出来事と関わり、生きる力、非認知能力、つまり「未来を創る力」を育んでいきます。 こうした人と人のつながりが、これからの社会では特に、求められるのではないでしょうか? ――実際に冒険遊び場/プレーパークを体験した保護者からは、どのような声が寄せられていますか? 中川:「ママにべったりだった息子が、いろんな年代の子と遊べるようになった」「親子で一息つける場所」「周りの大人が一緒にわが子を育ててくれている感じがする」といった声をいただいていますね。 またお父さんからは「パパ友ができた」という声もあります。冒険遊び場/プレーパークは大人にとっても、社会的地位や垣根を超えた知り合いができる場所なんです。 ――他の地域にも、外遊びが広がるサポートをしているのですね。 中川:はい。千葉県習志野市と東京都港区では、「外遊び型子育てひろば」のような、乳幼児親子の遊び場事業の立ち上げをサポートしました。群馬県富岡市と東京都中野区では現在進行形で、プレーパークの立ち上げをサポートしています。 ただ、地域によって抱えている課題や目指す方向性が異なります。大切にしているのは、自治体と地域住民がどうやって課題を一緒に解決していくか、どのような遊び場が子どもにとって良いのかを考える機会を設けることですね。 ――今後も、多くの親子に参加していただきたいと思う一方、安心して外遊びができる社会にするには、運営する側のリソースや支援も増やしていく必要があるかと思いました。 中川:おっしゃる通りで、こうした支援を継続していくためには支援する側の人的・経済的リソースがしっかり確保されることが重要です。 冒険遊び場/プレーパークは、不登校支援や児童発達支援のように、自治体事業の予算枠に当てはまらない事業なので、各自治体の予算確保努力に頼るしかありません。 各冒険遊び場/プレーパークの運営者が、活動の意義を広める広報ができればいいのですが……。我々も他の団体さんも、なかなか手が回っていないというのが現状です。業界として、こうしたリソースも増やしていく必要もありますね。