資産運用は「年間30分」で十分なワケ
リスクについては、簡単に言うと「リターンの不確実性」を指します。リスクが大きくなると、それだけ大きな損失が発生する可能性も高まります。 資産配分によって資産全体のリターンとリスクが決まります。リスク資産の割合を大きくすれば、その分、リターンも大きくなります。ただし、リスクのとりすぎには注意しましょう。自分がどれくらいのリスク許容度なのかということを見定めて、資産配分を考えるようにしましょう。 現金とリスク資産の比率をいくつにしようと、資産全体の投資効率は、リスク資産の投資効率と同じになります(ただし、現金100%の資産配分は投資効率を計算できないので除きます)。 例の場合は、どの資産配分も全体の投資効率は0.5です。投資効率の観点では、どの資産配分も正解です。 ● 現金とリスク資産の比率を どうするかだけ考えればいい 多くの人は資産運用や投資に対して「専門的な知識が必要そう」「時間がとられそう」「毎日株価のことばかり考えてそう」というイメージをこれまで持っていたのではないでしょうか。このようなイメージは今日から忘れましょう。 資産運用はシンプルです。資産運用とは結局のところ「現金とリスク資産の比率を適切な値に調整すること」に集約されます。現金とリスク資産の比率を調整するこのようなスライダーバーに例えるとわかりやすいでしょう。
現金の割合は安全度の高さを表しています。スライダーバーを右に調整すると、資産全体はより安全(ローリスク・ローリターン)になります。逆にスライダーバーを左に調整すると、安全度が減り、よりハイリスク・ハイリターンな資産配分になります。資産運用を始める前は、スライダーバーが一番右にある状態です。 「スライダーバーを調整するだけ」と考えると、資産運用のハードルは低くなるでしょう。資産運用を始めるときに適切な割合を一括で投資するのも、毎月の積立を設定するのも、すべてはこの現金とリスク資産の比率を適切な値に保つための手段です。 現金とリスク資産の比率は、給与や贈与、住居などの高価な買い物などによって、時間の経過とともにいつのまにか大きくずれ、リスク資産よりも現金の割合が大きくなっている、あるいは逆にリスク資産の割合が大きくなっていることがあります。 そのときはスライダーバーを調整しましょう。資産配分が50:50の方は、ちょうどバーが中央にくるようにするという具合です。1年に一度くらいは比率をチェックして、もし適切な値から大きくずれていた場合は調整しましょう。 資産運用とは、いわばスライダーバーを調整して、適切な割合のリスク資産を常に保有するということにつきるのです。
Hayato Ito