資産運用は「年間30分」で十分なワケ
iDeCoやNISAで購入する株式や投資信託のように、将来の投資収益いわゆるリターンが確定しておらず、元本が保証されていないものを「リスク資産」と呼びます。一方、現金や定期預金のように元本が保証されているものを「無リスク資産(安全資産)」と呼びます。資産配分を決めるには、次の2段階のプロセスで行います。 プロセス1 投資効率(シャープレシオ)の最もよいリスク資産を選択する。 プロセス2 個人のリスク許容度(あるいはリスク選好)に応じて、安全資産である現金とプロセス1で選んだリスク資産の割合を決定する。 プロセス1については悩む必要はありません。選択するリスク資産は時価総額加重平均に基づくインデックスファンド一択です。 インデックスファンドによって多少のコスト差はありますが、誤差の範囲内といってよいでしょう。資産額、年齢、運用期間、リスク許容度といった個人の属性によって購入する商品の種類を変える必要はありません。 個人によって変わるのはプロセス2の部分です。「リスク資産をどれだけ買うか」です。 リスク許容度とは、投資においてどの程度の損失を受け入れられるかという度合いのことです。
例えば、現在の資産が1000万円で、1年後にどうしても900万円が必要になるという場合、1000万円のうちの50%である500万円を投資に回すのは、明らかにリスク許容度を超えています。なぜなら、株価が20%以上下落して100万円以上の損失が出る可能性は十分にあるからです。 自分のリスク許容度を理解して、自分に合った資産配分を決定することが、資産運用では最も重要です。ライフイベントや経済状況の変化があった場合は、リスク許容度を見直し、資産配分を必要に応じて調整しましょう。 ● 資産配分によって資産全体の リターンとリスクが決まる では、リスク資産をどれくらい買えばよいのか、具体例を見てみましょう。 資産の合計が1000万円だとした場合、リスク許容度に応じた資産配分の目安は以下のようになります。この中でどれが正しいというわけではありません。例を参考に、自分にあった資産配分にしましょう。ここでは仮に、リスク資産のリターンを5%、リスクを10%としました。現金のリターンは0%としています。 表の説明をすると、ここでのリスク資産とは、iDeCo+NISA+特定口座の合計です。 リスク資産の最大損失額として、ここでは-50%と仮定しています。これは相当、悲観的な見積もりです。一般にはもう少し楽観的な数字、-33%あるいはリスクの3倍程度を想定しますが、資産配分を組むのに慣れるまでは、-50%つまりリスク資産がおよそ半分になる可能性があると考えておけば安心でしょう。ただし、必要以上に保守的になる必要はありません。