神戸、史上6クラブ目のJ1連覇!3発快勝で天皇杯と2冠 吉田監督、歓喜のビールかけ「俺らが一番! 俺らが強かった!!」
「明治安田J1リーグ」で首位の神戸が湘南を3―0で下し、初優勝した昨季に続いて2連覇を果たした。リーグ2連覇は2020、21年の川崎以来で6クラブ目。吉田孝行監督(47)はシーズン中、元日本代表でエースのFW大迫勇也(34)を先発から外す厳しさを見せて戦力の底上げを図り、広島、町田と最終節まで優勝を争った混戦を制した。今季は天皇杯も勝ち取ってクラブ史上初の2冠も達成。常勝軍団の道を突き進んでいく。 寒風すさぶ師走のピッチで神戸が勝負強さを見せつけた。デッドヒートの末、つかんだクラブ初のリーグ連覇。今季2冠を成し遂げ、吉田監督が2万7444人の前で高々とシャーレを掲げた。 「俺らが一番! 俺らが強かった!! 立ち上がりから90分間、前へ前へプレーしてくれた。これが僕のサッカーで、ヴィッセルのサッカー。選手が体現してくれた」 合言葉の「勝って決める」を有言実行だ。前半26分にこぼれ球をFW宮代が押し込み先制。同43分にMF武藤が2戦連発、後半25分にMF扇原の豪快ミドルが決まり、自力で優勝を決めた。 道のりは順風満帆ではなかった。昨季はFW大迫、武藤、MF山口、DF酒井と元日本代表組が奮闘して初優勝。当然、他クラブから徹底的に研究された。 シーズンの折り返し、6月の第19節終了時点で4位。第20節の町田戦で吉田監督が動いた。コンディション不良以外では今季初めて、エースの大迫を控えに回した。武藤には「(求めることが)できないなら代えるよ」とハッパ。実績組でもスタメン確約ではない、というメッセージだった。 聖域を作らないことが吉田監督の信条だ。自身にA代表の経験はない。一方、大迫、武藤らは日の丸を背負ってW杯に出場し、世界トップレベルを知る。「自分にはできなかったこと。リスペクトはある」と話すも、忖度(そんたく)はない。 「選手と監督の関係である以上、監督を超える選手はいない」 新加入の宮代やMF鍬先らを次々と先発で起用し、中堅や若手が成長。その姿にベテラン陣も奮起した。活性化したチームは8―10月にクラブ新記録の同一シーズンでのリーグ戦6連勝。趣味の釣りを封印し、オフの日も喫茶店で一人、データ分析にいそしむ指揮官への信頼は厚く、大迫らは「タカ(吉田監督)さんが決めたのなら」と口をそろえる。