【パリコレおさらい】「ミュウミュウ」「アンダーカバー」が圧勝の2024年春夏 超辛口な海外ジャーナリストたちの評価
奇しくも、PETAからの抗議は、「アンダーカバー」の存在感の大きさを示すものとなった。また、高橋デザイナーは同団体に送った謝罪文の中で、20年前の祖母の葬儀の後、自分のそばに白い蝶が現れたことがいかに喜びをもたらし、祖母を近しく感じて安らいだ気持ちになったかというパーソナルな経験を説明した。最後は、「私たちはより良い行動を学びたいので、遠慮なくこのトピックについてもっと教えてください。そして、蝶がまた私の側に来てくれることを祈っています」と締めくくった。定例文ではない心のこもった謝罪文で過ちを認め、騒動でさえも後味良く収束させた。
「ミュウミュウ」
“偉大なデザイナー”勢い止まらず
昨今の「ミュウミュウ」の影響力の大きさは、ここで説明する必要ないほど周知の事実だ。ラフ・シモンズ(Raf Simons)が「プラダ(PRADA)」の共同クリエイティブ・ディレクターに就任して以降、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は「ミュウミュウ」のクリエイションに多くの時間を費やせるようになったのだろうと、勝手に想像を膨らませてしまう。
24年春夏のもパリコレ最後に行われた「ミュウミュウ」のショーに対し、多くの海外ジャーナリストが興奮冷めやぬまま筆を進めているのが記事から伝わってきた。特に高く評価されている理由は、現代を生きる女性の内なる情熱と切望を、見事に具現化している点にある。「ヴォーグ・ランウエイ」のサラ・モーア(Sarah Mower)は、「混乱と感情を伴うシーズンの幕を下ろし、女性による、女性のための、これほど一貫性があって共感も呼び、自信をもたらすショーを提供するには、偉大なデザイナーのミウッチャが必要だった」と綴った。
「アナザー・マガジン(AnOther Magazine)」に寄稿するジャーナリスト、アレキサンダー・フューリー(Alexander Fury)は、「私たちが何を感じ、どこへ向かっているのか、来シーズンに何を望んでいるのかについて決定づけるのに、彼女ほど適任な人物はいない」と述べ、24年春夏シーズンをこう振り返る。「今季を総括するなら、女性の解放と優位性を主張し、歴史を再文脈化し、暗い時代への解毒剤として楽観主義を提案したという事実だろうか。しかし、『ミュウミュウ』では当たり障りのない商業性と創造性の戦いはほとんどなく、衣服はにわかに全ての要件を巧みに満たしていた」と評価した。