【パリコレおさらい】「ミュウミュウ」「アンダーカバー」が圧勝の2024年春夏 超辛口な海外ジャーナリストたちの評価
「ジバンシィ」
逆境に立ち向かった男、有終を飾る
2023年12月に、マシュー・M・ウィリアムズが「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターを退任すると発表された。12月に披露したメンズとウィメンズの24年プレフォール・コレクションがウィリアムズによる最後のコレクションとなった。最初の2年は酷評を受けたが、最近ではクリエイションもビジネス面も上向いていただけに、退任を惜しむ声も少なくなかった。
以前の講評では「見るに耐えない」とまで言い放った「ファッション・ネットワーク(Fashion Network)」の批評家ゴドフリー・ディーニー(Godfrey Deeny)は、「マシューが『ジバンシィ』のために制作した最高のコレクションであることに間違いない」と称え、「瀕死状態だったブランドがマシューのおかげで息を吹き返し、再び上昇気流に乗りつつある」と続けた。仏メディアはアメリカ人デザイナーである彼に対し特に辛らつだった印象だが、フランスの新聞「ル・フィガロ(Le Figaro)」のエレーヌ・ギヨーム(Helene Guillaume)も称賛を送った。「LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン、LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)グループの年末評価に“重圧の下での仕事”という項目があるなら、マシューは栄誉ある賞を受賞するに違いない。3年前に『ジバンシィ』でデビューして以来、37歳のアメリカ人は否定的な評価や、彼の退社に関する噂を面白がる傍観者がいる、困難な環境の中を歩み続けてきた。それでも数シーズンにわたって、彼はメゾンにぴったりのトーンを見つけた」と記した。後任は発表されていないが、いい形で次にバトンをつなぐラストコレクションだった。
「クロエ」
後世に残る偉大な足跡
未来へとつなげるという功績においては、「クロエ」のクリエイティブ・ディレクターを24年春夏シーズンをもって退任すると発表していたガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)も称賛に値するだろう。ハーストが「クロエ」に加わった当時、環境保全と社会貢献を担うサステナビリティチームは1人だったが、今では12人にまでチームが拡大。持続可能な生産に熱心に取り組んだ功績は、ラグジュアリーメゾンとしては初のBコープ認証を取得するというかたちで今後も残っていく。最後のコレクションでは、環境負荷の低い素材を全体の60%に使用した。