【パリコレおさらい】「ミュウミュウ」「アンダーカバー」が圧勝の2024年春夏 超辛口な海外ジャーナリストたちの評価
ブランクスも、「『私は単純化ではなく、複雑さを受け入れたいのです』とミウッチャは説明した。彼女が感じていることは、まさに時代の精神だ。社会的、環境的、経済的混乱の真っただ中でファッションは安全性を求めている中、彼女は反抗することに喜びを見出した」と、“クワイエット・ラグジュアリー”の潮流から外れた、同ブランドの独自性を称えた。フリードマンも「次にあなたが何を着るか知りたいなら、『ミュウミュウ』を見ればいい」と記した。同ブランドが他のデザイナーにもインスピレーションを与え、そのアイデアがファッション界全体で広がっていることを説明した。
「ミュウミュウ」は、乱れた髪に曇った眼鏡、ボトムスを履き忘れたかのような下半身に、荷物を詰め込みすぎて形を崩したバッグ――その不完全さを、“美しい”とする多様性と、その奥にある個のアイデンティティーを包括している。“全てが完璧じゃなくていい”と抱擁してくれるような感覚は、SNS上で“完璧”なメイクアップとファッションに身を包み、“完璧”な生活を送っている他者と自分を比較してしまう、今の時代に必要とされているのだろう。
「i-D」マガジンのオスマン・アーメド(Osman Ahmed)=ファッション・フィーチャー・ディレクターは、「バービー人形がフェミニストのアイコンとして歓迎され、メイクアップチュートリアルに1時間以上かかる現代において、インフルエンサーのように完璧に見えることは退屈で、セクシーではないということを思い出させるものであり、女性が聞く必要があるメッセージ」と述べた。さらに、「ランダムな寄せ集めになりかねない無作為を受け入れて、現実的であると同時に、熱狂的に何とか調和を取り、“エレガントに取り乱したスタイル”にまとめることができるのは、ミウッチャだけだ。それよりも重要なのは、幸運なアクシデントや不完全さこそが真の美しさとスタイルを構成するという、彼女が雄弁に伝えるメッセージである。1カ月のファッション・ウイークを締めくくるのに、これ以上の高揚感があるだろうか?」と続けた。「ミュウミュウ」は時の流れとともに変わり続ける“美の概念”を、異なる視点で示す。熱狂が熱狂を呼び続けており、その勢いはまだまだ止まることはなさそうだ。