城彰二氏が語る森保J圧勝の理由「戦術がフィットせず拍子抜けの韓国と鎌田がもたらした第二の攻撃パターン」
その象徴的シーンが前半27分の2点目のゴールだ。自陣でボールを奪うと、そこからカウンターを仕掛けて、縦パスを受けた大迫が“タメ”を作った。2列目の鎌田が上がってくるのを待ち、韓国ディフェンスを翻弄するような華麗なターンを見せて鎌田にパスを出した。同時に複数の選手がオーバーラップ。逆サイドからは南野も入ってきていた。韓国のマークを混乱させることになり、鎌田の前にスペースが空いた。1対1となった鎌田は、冷静に相手ディフェンスを動かし、GKの位置を見て右足を振り抜いた。らしさを存分に発揮した股抜きシュートである。 鎌田の特長は、ぺナルティエリア内でのプレーにある。足が速いわけではないが、ポジショニングがよく、リーチが長く、シュートに持っていく形とセンスを持っている。加えてポストプレーもできる。その鎌田のプレースタイルが、新たな攻撃の選択肢を森保ジャパンにもたらしたのである。 ボランチの遠藤の存在感も光った。守田が攻撃的に動けたのも遠藤がバランスを取ったからだ。2ボランチが、遠藤ー守田の組み合わせになるのか、遠藤ー柴崎になるのかわからないが、いずれにしろボランチの中心は遠藤。対戦相手や状況によってボランチの選択肢が増えたのも収穫だった。 所属チームのブレーメンで出場機会に恵まれていない大迫も、山根の代表初ゴールとなった先制点を演出した。ヒールで落とした絶妙のパス。“オレが不動のエースなんだ”という意気込みと自信が伝わってきた。 一方、対照的にプレーに迷いが見えたのは南野だ。後半の3分、24分と2度訪れた、ゴール前での決定的チャンスを決めきれなかった。特に後半24分は、右からのパスをペナルティエリア内で受けたが、南野であればダイレクトで打てたはずなのだが、あえて右足で一度止めてからシュートしたため、結果的にワンテンポ遅れてシュートは外れた。ワンタッチで打てるのにボールをコントロールしてしまった裏には“確実にいかなくては”の心理が透けて見える。自信があれば、ああいうプレーの選択はしていない。サウサンプトンではリーグ戦6試合で2ゴールをマークしているが、まだ本調子ではないのだろう。