【大人の熱海旅行】一煎の茶と道具が教えてくれる“只今”
「私は蒐集家ではありませんので、できるだけ道具に固執せず、お客様に豊かな道具と出合っていただきたいと思っています」と続く言葉に、店主の体裁ではない人間性と真心を受け止めた。伯母が命名した「湖心亭」という名は、中国の古い茶楼にちなんだそうだ。澱まず波風をたてない静謐な湖のような心は、小田さんにも受け継がれているのだろう。そして店を訪れる者にとっては、清澄な道具に胸高鳴る“今”この瞬間の己心(こしん)と出合える場所でもあった。 住所:静岡県熱海市春日町16-61-1階 メール:info@koshin-tei.com(予約制) BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。