自宅での転倒、注意すべきは階段よりも「リビングや寝室」 理学療法士による、寝たきりを遠ざける転倒予防トレーニングを紹介
◆過ごす時間が長いリビングと寝室は注意 私は理学療法士としてさまざまな転倒のケースを見てきましたが、起こりやすい場所は大きく分けて2つあります。 まず、1日の大半を過ごすリビング。床には何も置かず、コード類は壁に這わせ、めくれやすいラグは部分的でなく、床全面に敷くようにしましょう。 次が寝室です。ベッドに横たわる、起きて立ち上がるという複雑な動作があるため、手すり代わりにベッドガードを付けるのがおすすめ。 また、夜中のトイレを想定し、足元灯があると安心です。朝起きたときはすぐにベッドから下りず、10分ほどかけてゆっくり起きましょう。 トイレも立ったり座ったり、下着の脱ぎ着があり、転倒リスクの高い場所。マットは滑る原因になるので敷かないほうが安全です。玄関も同様。マットを敷く場合は滑り止めシートなどで滑らないように固定を。
室内履きは脱げやすいスリッパではなく、かかとがあって滑りにくいルームシューズにしましょう。着替える場所にはいすの用意を。片脚立ちになってバランスを崩しやすい着替えは、座ることで転倒リスクを軽減できます。 キッチンでは冷蔵庫や縦開きの電子レンジを開ける際に、重心が後ろに移動して転倒することが。洗濯物も高い位置に干すときは要注意です。部屋の明るさも気をつけたいポイント。白内障の人は明かりをまぶしいと感じるため、部屋を暗くしがちですが、障害物に気づきづらくなってしまいます。 転倒しない体づくりも重要です。高齢者、とくに骨粗しょう症の人が骨折すると完治に時間がかかり、体力が低下するリスクもあります。転倒予防には筋力アップと柔軟性、バランス感覚を養うのが効果的。この3つを組み合わせた簡単なトレーニングをご紹介します。 筋トレは強い負荷をかけず、姿勢の保持と持久力アップを目指したもの。ストレッチは血流を良くして筋肉を温めます。バランス感覚を向上することで、ふらついたときに瞬間的に姿勢を安定させられるように。体幹を安定させ、腹筋と背筋を意識しながら、なるべく毎日行いましょう。 さらに、散歩もおすすめ。下肢の筋肉を鍛えるだけでなく、かかとから刺激を与えて骨を強くするので、ぜひ取り入れましょう。
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