いったいなぜ?世界王者の京口紘人が新型コロナ感染でまさかのタイトル戦前日中止…東京五輪に与える影響とは?
JBCの安河内事務局長も、「改めて新型コロナ禍における興行の難しさを実感した。もしものことがあれば、今後ボクシング興行ができなくなるため、ガイドラインに沿い、リスクを考えての苦渋の決断となった。渡辺会長も経済的被害が大きい中、よく決断をされたと思う。もう一度ガイドラインの厳守を呼びかけて徹底しなければならない。ガイドライン違反者が出るなど、まだジムによって新型コロナ感染予防に対する意識のギャップを感じる。ジムの管理体制を見直し、ライセンス保持者、選手らの意識を高めることが重要になる」と危機感を抱く。 渡辺会長は、先月14日、東日本ボクシング協会から、再三注意を受けたにもかかわらず、チケットを購入、所持をせずに座席での観戦、立ち見観戦を行ったとして罰金50万円のペナルティを科せられていた。感染予防のガイドラインでは濃厚接触者を特定し密の状態を避けるため全席を指定とし着席しての観戦を定めている。 渡辺会長の行動は、新型コロナの感染予防に対する意識の希薄さを示していたと非難されても仕方がなかった。今回の京口、チーフトレーナーの新型コロナ感染は、ウイルスの猛威を示す事象で2人に罪はない。ワタナベジムも会場のキャンセル料、チケットの払い戻し、挑戦者側の来日経費などジムの存続にさえ影響を与える多大な損害を負った。ただワタナベジム側の管理責任については厳しく問われるべきだろう。 ワタナベジムとグリーンツダの両陣営は、京口の回復を待って、このカードで世界戦を実現したい意向。タノンサックは18日に帰国予定だったが、12月31日までビザの期限があるため、帰国を延期させて日本に滞在し世界戦のチャンスを待つという。本石会長も「渡辺会長は中止ではなく12月に延期と言って下さっている。タノンサックは、この世界戦に人生をかけてきている。なんとか実現して欲しい」と願う。 京口とは、同学年でプライベートでの付き合いも深いWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同王者の井上尚弥(27、大橋)もラスベガスでの衝撃KO勝利から凱旋帰国した成田空港で、代表取材に応じ「この状況で誰も責められない状況。また気持ちを切り替えて頑張ってほしい」とエールを送った。 12月には、大阪で他のプロモーターによる世界戦が予定されており、その興行にダブル世界戦として合流できないか、という交渉も含めて、改めて世界戦の実現に向けて尽力する方向。また今日3日には、会場のインテックス大阪の現場に、中止を知らないファンや、払い戻しを求めるファンが直接来ることも予想されるため、ワタナベジムの関係者とJBCが現場に出向き対処するという。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)