いったいなぜ?世界王者の京口紘人が新型コロナ感染でまさかのタイトル戦前日中止…東京五輪に与える影響とは?
新型コロナの感染が拡大して以来、国内で初開催される世界戦は大きな意義を持っていた。当初、タノンサックの入国、ビザ発給などに障害があると考えられていたが、JBCは、東京五輪を来年に控えるアマ側の日本ボクシング連盟とも連携してスポーツ庁に働きかけ、来年の東京五輪に向けての国際スポーツイベントの公益性を訴え、タノンサックの入国、ビザの発給を実現したという背景がある。 外国人選手を迎え入れて行うスポーツイベントをスポーツ庁をはじめとした関係各位は、東京五輪のモデルケースとして期待していた。 人数を制限しながらも約2000人のファンを入れての有観客で、しかも、海外から選手を招聘してのボクシングの世界戦は、世界でも初のケースとなるため国際的な関心も高かった。京口は、先月26日に日本外国特派員協会に招待されて異例の会見を行い「東京五輪が無事開催されて欲しい思いがある。しっかり11月3日の試合を成功させて良い影響を与えられたら」と話していた。 タノンサックは10月7日に来日すると、公共交通機関を使わず、成田から車で大阪入りし8日から21日まで、大阪市内のマンションから一歩も出ない隔離を経て、マネジメント契約を結ぶグリーンツダジムで調整。複数の人間が接触することによる感染リスクを避けるため、3食の食事手配や、送り迎えなど、すべて本石会長が一人で担当し万全の対策を施していた。 「スポーツ庁やあらゆる関係者が動いていただき、海外からの選手を迎えいれることができた。今後のこともあり絶対にコロナ感染の例は出してはダメだと責任を感じていた」というが、恐れていた感染者は、海外から入国した選手ではなく国内側から出てしまった。 先日は、体操男子のロンドン、リオ五輪金メダリストの内村航平(31)がPCR検査で陽性反応が出て、その後、再検査で「偽陽性」だったことが判明するなど、国際大会を前に混乱が生じていた。一時、練習拠点のナショナルトレーニングセンターの使用が中止されるなどの事態に発展し、東京五輪開催に向けて新型コロナの感染予防に対する対応、PCR検査のあり方などについて大きな問題を提起したばかり。プロ興行とアマチュアイベントとの違いがあり、スポーツ庁の関係者の具体的な動きもなかったが、関係各位が注視していた世界戦だけにモデルケースを作れなかった影響は計り知れない。 今後、重要なのは原因究明と再発防止の徹底だろう。