「北朝鮮軍、1個大隊失った」…金正恩委員長の対ロシア請求書増える
ウクライナ戦争早期終結を望むトランプ次期米大統領の就任を控え、ロシアの北朝鮮軍「人海戦術」も本格化する兆候が表れている。しかし朝ロが密着を強化する中、主要被害者の韓国はまともな外交力を見せられずにいるという指摘だ。 【写真】ウクライナのドローンを避けて逃げる北朝鮮軍推定兵士 ウクライナのゼレンスキー大統領は4日(現地時間)、定例演説の映像で「クルスク州マフノフカ村の近隣で3、4日、ロシア軍が北朝鮮軍の歩兵とロシア落下傘部隊からなる1個大隊を失った」と述べたと、ロイター通信などが報じた。韓国軍を基準に1個大隊は通常、歩兵400-500人ほどで構成される。 ゼレンスキー大統領は先月23日基準で北朝鮮軍の死傷者が3000人を超えたとも明らかにした。クルスクに配置された北朝鮮軍は約1万1000人だが、3分の1近くの軍に被害があったという主張だ。ロシアが北朝鮮軍を「捨て駒」として活用しているという傍証と考えられる。 死傷者が続出したことで北朝鮮が将校を派遣したという報道もあった。ウクライナメディア「イボケーションインフォ」は2日、「北朝鮮人民軍の幹部が先月27日、クルスク州のロシア軍基地を訪問した」とし「最近の北朝鮮軍の大規模な死傷を調査するのが目的」と報じた。同日、ウクライナ国防省情報総局は「北朝鮮兵士の士気が落ち、過飲の事例も出ている」とも明らかにした。 しかし兵士の犠牲に気にしないロシアの激しい反撃で戦況はますますウクライナが不利になっている。ブルームバーグ通信は先月28日(現地時間)、米当局者を引用し、「現在ウクライナが昨年8月に奇襲占領したクルスクの半分を失い、数カ月以内に残りの領土も失うかもしれない」と伝えた。 ある政府筋は「金正恩委員長の立場では死傷者が増えるほどプーチン大統領に出す請求書が増えるということ」とし「確実な功績を立てるために年初に追加派兵する可能性も排除できない」と話した。20日に就任するトランプ大統領が終戦ロードマップを本格的に稼働する前にロシアのプーチン大統領に確実な勝機を抱かせるため、金正恩委員長がさらに大きな賭けに出ることもあるという見方だ。 これを通じて戦場に派遣された北朝鮮軍が現代戦の経験を習得し、ロシアの反対給付が提供されることは、韓国にとって直接的な安保上の脅威となる。しかしリーダーシップ空白状態の韓国はこれに対応する外交的余力が不足するという懸念の声が出ている。 漢陽大のオム・クホ・ロシア学科教授は「戦争が終わっても朝ロ協力は長期間続く可能性がある」とし「韓ロ間の意思疎通から再開し、韓国が朝ロ軍事協力に影響を及ぼせるタイミングを逃してはいけない」と指摘した。 トランプ氏の帰還で西側の対ロシア連帯が求心点を失う可能性が高いという点も、韓国には悪材料として作用しかねない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が公言した北朝鮮軍の派兵に対応する「段階的・実効的措置」が現実的に難しい状況で、協調勢力までが弱化する可能性があるからだ。 ただ、トランプ氏の終戦のシナリオがプーチン大統領と金正恩委員長が望む流れにはならないという見方もある。梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「戦争を終わらせようとするトランプ氏の圧力の前でプーチン大統領も一定部分譲歩するしかないはず」とし「ロシアの対北朝鮮先端技術移転も北朝鮮の交渉力を高めるためトランプ氏は容認しにくいだろう」と述べた。