海外メディアは異例ずくめの東京五輪をどう評価したのか…「優しく寛大で忍耐強かった日本人」「指導者が安全・安心を裏切る」
隔離期間が終わり、ようやく街に出た記者は、日本の人々の様子をこう観察していた。 「東京2020大会を取材して最初に言うべきことは、この街の人々が必要のない訪問者に対して非常に寛大で忍耐強かったということだ。五輪のコストを負担するように求められた地元の人々は、敵意や冷たさを感じていたかもしれないが。でも想像してみよう。もしロンドンで五輪を開催し(ユーロ大会でスタジアムに侵入した)ウェンブリージブの若者たちに『見に来てはいけない』と言ったとしたら彼らはゲートを襲撃しバスを包囲するだろう」 日本人が礼儀正しいのは、それが国民性であり、「外国人ジャーナリストが好きだからというわけではないかもしれない」と前置きした上で、この状況下で受けた親切と感染防止のための行動監視は忘れられない思い出になったと綴っている。 「私の五輪体験が優しさに満ちているのは、ホスト都市だった東京の優しさの表れである。このイベントの最終的な目的が何であれ、この東京の人たちの配慮と親切は、この過酷な時代に必要なものを示す教訓だ。私にとっての東京五輪は相反する二重の経験だった。日常的に行われていた極端な監視は、近未来を垣間見たような気がする。しかし、その先には、地元の人々の恵み、ストイックさ、そして五輪が私たちに提供するはずの教訓、つまり人間の素晴らしさが大会の最も良い部分であるということを教えてくれた」 このガーディアン紙の記者が感じたことが、東京五輪のすべてだったのかもしれない。 すべでが異例ずくめで負の側面がクローズアップされた大会となり、選手村のバブルも崩壊し、いくつかの違反事例が生まれ、選手も含めた五輪関係者の新型コロナの感染者数も437人に至った。組織委員会やバッハ会長は、参加者の総人数における感染者のパーセンテージが1%に満たないことを強調したが、437人という人数は決して少なくない。当初、懸念された通りに予防対策は万全ではなく、また「緊急事態宣言」下にある東京都の新規感染者数は増加、5日連続で4000人を超えた。組織委員会の武藤事務総長は「五輪とは関係ない」とコメントしたが、何の根拠があってそう言うのか。 だが、一方でアスリートたちは、素晴らしいパフォーマンスを見せ、そこには様々なドラマがあった。スポーツの力が、新型コロナとの戦いに疲れ、閉塞感が生まれていた社会に勇気と元気を与えてくれたことも確かである。相反する2つの出来事…。東京五輪は、今後も続く新型コロナ禍での生活に必要なことを示してくれたのかもしれない。