第161回芥川賞受賞会見(全文)今村夏子さん「楽しいから書き続けられた」
影響を受けた作家は?
読売新聞:読売新聞のウカイといいます。本日は紫色の服でいらっしゃるのかなと思ってたんですけど。紫色っていうのは、何かご自身の中にはイメージっていうのはなんかあるんでしょうか。 今村:いえ、何か特別なイメージを持って付けたわけではないので、はい。ありません。 読売新聞:はい。それと、太宰治賞でデビューされまして、三島由紀夫賞もお取りになって、今回、芥川で、太宰治、三島由紀夫、芥川龍之介という作家の名前の賞なんですけどね、それぞれの、芥川とか、自分が影響を受けた作家とか、芥川に対する思いとか、何かその3人の作家に対する思いでもいいですけど、お聞かせ願えればと思います。 今村:たくさん本を読むほうじゃないのですごく難しいんですけど、その3人の中で一番好きな作品を選べといわれたら、太宰治の『女生徒』の中に入っている「燈籠」という短編が一番好きなので、やっぱり太宰治賞をいただいたときは、とてもうれしかったです。ただ、芥川龍之介の本はあまり知りません。すいません。 司会:ありがとうございます。じゃあ、あと3、4問というふうに思いますが、じゃあ、こちらのすいません、女性。すいません、マイクを取り違えになって。
「黄色のカーディガンの女」の視点を書く際に何を意識したか
週刊読書人:読書人の【ノムラ 00:09:38】と申します。受賞おめでとうございます。 今村:ありがとうございます。 週刊読書人:すいません、今回の作品はすごく、「むらさきスカートの女」と「黄色のカーディガンの女」の人が入れ替わるような作品だったと思うんですけど、黄色のカーディガンの女性の方が結構、異常というか、ストーカーちっくな感じだったと思うんですが、彼女の視点がすごく淡々としていたように思いました。何か彼女の視点を書く際に意識していたことなどはありますでしょうか。 今村:いつも明るい人を書きたいと思っていて、あまり深く悩まない、くよくよしない、明るい人を書きたいと思ってるので、その淡々とした口調がもしかしたらそういうとこに出たのかなと思います。 週刊読書人:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。では、こちらの一番右側の赤いネクタイの方。はい、あの方にマイクお願いします。