「返り咲きの可能性高まった」金融市場で再び動き出した“トランプ・トレード” アメリカ大統領選終盤へ【Bizスクエア】
三井住友信託銀行 瀬良礼子さんは「9月の半ばから円安ドル高という形で、かなり早いペースで円安進んできたが、3つのポイントがある。一つは「アメリカの景気が強いことでの利下げ観測の後退」。二つ目は「トランプ返り咲きの可能性が高まったことで『トランプ・トレード』に備えた投機筋の円の買い持ちの解消、三つ目が「日本の総選挙で自公の過半数割れの可能性が高まってきたことでの日本の政情不安。政治の不透明感、ここへの警戒感からの円安」この三つが要因だったと考える。 (今後の円相場の見通しは)145円ぐらいを年末の中心レベルということで置いている。かなりレンジは広く見ていて上が155円とすると、下が142円あたりを見ておく必要がある」としている。 トランプ氏の勝利を織り込んだ動きは他にも。 トランプ氏が設立したSNSの運営会社、トランプ・メディア&テクノロジー・グループの株価は9月末から急速に反発。アメリカではトランプ氏による規制緩和を期待した「エネルギー関連株」や「金融株」、そして、ビットコインなどの暗号資産も上がり始めている。 さらに連日最高値を更新しているのが「金」の先物価格。トランプ氏の勝利で地政学的リスクが拡大することを懸念し、安全な資産と言われる「金」を買う動きに繋がっている。 ■米大統領選まであと10日 市場はトランプ優勢? 大統領選まであと10日。選挙の結果は今後の世界経済にどのような影響を及ぼすのか。 ――市場関係者の間ではトランプ優勢という考えか? りそなアセットマネジメント チーフ・ストラテジスト 黒瀬浩一氏: はい。その確信を強めた投資家がポジションを取り始めたのが、この1ヶ月ぐらいの動きだと思う。 大統領選挙の状況。リアル・クリア・ポリティクスの全国世論調査の平均値は、一時ハリス氏優勢だというふうに伝えられてきたが、ここにきて、10月25日時点で、差はついに0.1ポイントになってしまった。ハリス氏が上にいるとはいっても、実はトランプ支持は世論調査では実際の投票より低く出るという傾向が過去2回の選挙では顕著。例えばヒラリー・クリントン氏は、今の時期と同じ、投票10日前ぐらいに5ポイントもリードしたが、負けた。2020年のときにはバイデン氏が8ポイントリードしていたが、ギリギリで勝った。数パーセント、割り引いて見なくてはいけないという説がある。