J3クラブはどう決まる? 参加候補の19クラブが確定
来シーズンからJ2の下部リーグとして新設されるJリーグ・ディビジョン3(J3)への参加候補クラブが1日までに確定し、Jリーグから発表された。 J3に参入するにはJリーグの準加盟クラブであることが大前提で、すでに承認されている町田ゼルビアなどJFLの6クラブに加えて、期限である6月末日までに準加盟を申請した福島ユナイテッドFCなどJFLの6クラブ、ヴァンラーレ八戸など地域リーグの7クラブの計19クラブが名乗りを挙げた。 初年度のクラブ数は10または12。今後は9月末までに準加盟申請の可否が審議され、承認されたクラブがJ3のスタジアム及びライセンスの審査を受ける。スタジアム要件は5000人程度が収容可能で、ナイター設備の有無は問われない。ライセンスは(1)3人以上のプロ契約選手を有する(2)常勤役員がいる(3)地元自治体や財界の支援体制などが問われる。審査に合格したクラブ数が上限を超える場合は、JFL所属クラブが優先的にJ3に振り分けられていく。 JリーグはJ1、J2 を合わせたクラブ数を将来的に「100」とする構想のもと、早くからJ3創設の準備を進めてきた。J2 が上限としていた22クラブに達し、下部に当たるJFLとの入れ替えが昨シーズンから始まったことを受けて、来シーズンからのJ3スタートを決定した経緯がある。 一部には拙速という声もある中で、果たしてJ3は成功するのだろうか。 ■クラブの財政面 Jリーグ内に設置されているJ3準備室では、J3に参戦する上での年間予算をミニマムで1億5000万円と算出している。JFLで言えば福島、SC相模原、AC長野パルセイロ、ブラウブリッツ秋田などJ3参戦を希望しているクラブの予算と同額になる。 J3構想が表面化した昨秋から、J3準備室は関心を示すクラブに対して年間予算のガイドラインを提示。各クラブはそれを地元に持ち帰り、自治体や財界と折衝を重ねた上で今回の申請に至った。収入に関してはメドがついていることになるが、問題は支出とのバランスになる。 JFLの中には、経費を節減するために選手たちが各々スタジアムに集合・解散するクラブが少なくない。J3参入を果たし、プロとなる以上は、お金を払って観にくるファンに常に最高のプレーを見せなければならない。そのためにはベンチ入りメンバーが前泊して心身のコンディションを整えた上で、不慮のアクシデントを避けるためにバスでスタジアムに移動する体制が求められる。 J3がサッカーくじtotoの対象となることも、万全の状態でのプレーを求められる理由となる。ホテルやバスの手配には当然お金が必要となる。決して多くはない予算の中で、いかにやり繰りするか。J3準備室のメンバーを務める、Jリーグ管理統括本部の岩本暢アシスタントチーフはこんな点も指摘する。 「スタジアムに来られた方が快適かつ安全に試合を観戦できる環境が求められる。お金を払って観てもらう興行として習熟していけるか、そのためのスキルを向上させていけるかどうか」 Jリーグから与えられるライセンスは、3年連続で赤字を出せば失効となる。J3からの退会を余儀なくされるわけで、予算規模は小さいながらも堅実なクラブ運営を求めるからこそ、フロントに常勤役員、つまり「プロ」がいることが必須条件となったわけだ。