今年最後の年金支給日に密着 節約や不安…「娯楽は何もない」 86歳の介護ヘルパーも
■年の瀬ならでは…孫へのお年玉やクリスマス
今年最後の年金。年の瀬ならではの使い方をする人もいます。 年金受給者(75) 夫婦で年金1カ月約14万円 「お年玉の前にはクリスマスもあるし」 「(Q.お孫さんの)(クリスマスに)5000円くらい。お年玉は1万円くらい」 年金受給者(78) 年金1カ月約14万円 「孫にはね、クリスマスとかお正月とか。大金じゃないから」 聞こえてきたのは、孫へのクリスマスプレゼントやお年玉などの出費です。 年金受給者(80) 夫婦で年金1カ月約20万円 「(あさって)15日にね、行きつけの店主催でボウリング大会がある」 女性の楽しみは、年金支給日と同様に2カ月に1回開催されるボーリング大会です。大会後には打ち上げも行われました。 年金受給者(80) 夫婦で年金1カ月約20万円 「疲れたー。でも楽しかった。みんなと会話しながら体を動かして楽しいひと時だと思います」
■「医療費を」90歳団地暮らし
一方、街行く高齢者からは切実な声が上がりました。 年金受給者(60代) 夫婦で年金1カ月約13万円 「これだけ物価が上がって、全部上がって、家賃とか食べ物とかって考えていくと、医者にもかからなきゃいけないから、さっさと死んじゃっていなくなった方がいいのかなと。極端に考えれば」 年金受給者(70代) 年金1カ月約3万5000円 「年金なんてもう食べられないですよ。食べていけない。無理ですよ。全然」 住民の5割以上が65歳を超える団地で暮らす高齢者を取材すると、年金生活に大きな不安を抱えていました。 鈴木ハナイさん(90) 年金1カ月約14万円 「貧乏はヤダ。だから生きていたくない。長生きしたくない」 そう話すのは、鈴木ハナイさん90歳。7年前に夫と死別し、1人で暮らしています。 鈴木さん 「(働いていた時は)住み込みだからお給料がすごく安かった」 58歳まで建設会社の社員寮で寮母として17年働いた鈴木さん。自身の厚生年金と夫の遺族年金を合わせ、ひと月あたりおよそ14万円の年金で暮らしています。前は少し貯金があったといいますが。 鈴木さん 「旦那が認知症になっちゃって。ずっと病院に3年半(1カ月で)20万円払ってたのよ、入院費を。葬式して、それで納骨したら、もう全部、お金なんか全然。ゼロになりましたよ」 家賃はおよそ1万4000円。安売りのスーパーで食材を購入するなど生活費を切り詰めてはいるものの、決して生活に余裕はないといいます。 鈴木さん 「(Q.令和4年(おととし)だと(生活費が)2万5000円くらいで収まっているんです。(今年)11月は3万8000円くらいまで上がっている)それは物価が上がってるし、野菜も高いし、何でも高い」 2年前には食費などの生活費は月2万5000円ほどでしたが、先月は1万円以上も高くなっていました。 鈴木さん 「物(の値段)が下がることないから、楽になることないよ」 さらに家計を圧迫するのが医療費。というのも、鈴木さんはこれまで膝や背骨の手術を繰り返し、今背骨には20本のボルトが入っています。 鈴木さん 「これ以上(背中を)曲げられないから。ここまで(背骨に)金具がこう入ってんだもん」 整形外科でのリハビリや痛みを緩和する針治療など、毎週のように医療ケアが必要です。また、寒いと傷が痛むため暖房は欠かせません。 医療費を捻出するため節約の日々。クローゼットの中はほとんどが30年以上前に買った服です。 鈴木さん 「みんな昔働いていた時の(服)だからね、(サイズが)入らなくなって」 「(Q.入らなくなったらどうするんですか?)脇へね、継ぎはぎして(布を)足してるの。自分で」 「ほらこれ。これマフラー(を再利用した)」 服は自分でリメイクし、今も大切に着ていると言います。他にもお出かけ用のポシェットは夫が使っていたネクタイを4本縫い合わせ作ったもの。節約は他にもあります。 鈴木さん 「ケアマネさんは(お風呂の介助に)週3回看護師さん入れましょうって言った。だけどお金かかるから」 ケアマネージャーから週3回の入浴介助を勧められましたが2回にとどめ、1回あたり1000円程度かかる費用を節約しています。 鈴木さん 「(Q.娯楽ってなんですか?)何も娯楽ないよ。何もないね」