東京五輪開会式で注目された看護師ボクサー・津端ありさ プロデビュー戦でフルマーク判定勝ち「大和田正春トレーナーと世界目指す」
◆プロボクシング ▽女子スーパーライト級(63・5キロ以下)4回戦 〇津端ありさ (判定) ポンカモン・トーンプアク●(11日、東京・後楽園ホール) アマチュアボクシングで看護師ボクサーとして注目され、2021年東京五輪開会式の式典に登場した津端ありさ(31)がプロボクシングに転向。多寿満ジムから11日、プロデビューした。2戦2勝のポンカモン・トーンプアク(タイ)と対戦し、3―0の判定勝ちした。 髪の毛をコーンロウに編み上げて初陣に臨んだ津端。強烈な右を武器に左フック、右アッパー、左右ボディーと上下に巧みに打ち分けながら、17歳のタイ人ボクサーを圧倒した。ダウンこそ奪えなかったが、ジャッジ3人ともに40―36のフルマーク判定勝ちした。 「いいパンチは入ったけど、倒しきれなかった。KOで勝ちたかった。でも、勝ったことは自信につながると思う。いい経験になりました」と津端。デビュー戦で注目と期待が集まる中、「切符を手売りしてプロとしての実感があり、それに見合った試合をしないと考えると緊張感が増した」という。172センチと相手より高い身長でも「パンチをもらっていて焦った」とも話し、反省も口にした。 埼玉・狭山市出身の津端は看護師として働きながら、2019年全日本選手権に優勝し、東京五輪女子ミドル級代表候補となるなどアマチュアボクサーとしても活躍した。21年5月にはコンスタンチン・コロトコフ記念国際トーナメント女子75キロ級で銀メダルを獲得。目標だった東京五輪出場は逃したものの、国立競技場で行われた同五輪開会式のイベントに登場して注目された。今年のパリ五輪出場を目指したものの、かなわず。「一度は引退も考えたが、プロでやらないかという誘いを受け、環境を変えてやってみたい」とプロ転向を決意した。 5月にプロテストを受けて合格。元日本ミドル級王者・大和田正春トレーナーの指導を受け、デビュー戦に備えた。看護師の仕事は「ボクシングを本気でやっているので」と、非常勤として職務に当たっているという。 大和田氏は、現在俳優として活躍する“浪速のロッキー”赤井英和との激闘で知られ、日本ミドル級王座を5度防衛した名ボクサー。「スーパーライト級の第一人者としてこの階級を開拓していきたい」という津端は「大和田トレーナーと一緒に世界を目指したい」と夢を広げた。
報知新聞社