鍵は成長パターン?約6億年前出現、奇妙な最古動物の正体探る新研究
エディアカラン生物群
多数出現した最古の動物達は、古生物学において「エディアカラ生物群(Ediacaran Biota)」と呼ばれる。一連の化石は特にオーストラリア南部の(約5.6―5.8億年前の)地層から、20世紀前半に初めて化石が見つかった。(それ以来、カナダ北東部の「Mistaken Point」やアフリカのナミビア、イギリス等、いくつかこの時代の化石を産出する場所が世界各地に知られている。)(注:こちらに関連の記事あり)。 -「動物はいつ動いた? 地球最古動物の“静”のイメージ変える最新研究」 一連のエディアカラン生物群化石記録から「最初期の動物」の特徴をまとめてみると以下のものがある。 (1)海環境:化石が見つかる堆積岩をもとに、動物はまず温暖で浅い(?)海環境に住んでいたとするアイデアが今のとこと主流だ。(しかし後述するようにいくつか異論も出されている。) (2)軟体動物:硬い殻や歯、骨格などの体の部分は、この時代の化石記録において、基本的にまだ見られない。(幾つか例外の可能性も最近指摘されている。) (3)多様性:200以上の化石種が知られている。そのうちのいくつかは最初期の動物(Animalia及びMetazoan)にあたると考えられる。サイズや形、おそらくライフスタイル(食性、習性など)も多岐に渡る可能性がある。 (4)捕食者の欠如:他の動物を直接襲い食すライフスタイルをもつもの ── いわゆるプレデター(補食者) ── の存在は、今のところ知られていない。(注:すぐ次のカンブリア紀という時代になって初めて出現してようだ。) (5)動性の欠如:ほとんどの種が自由に海底を歩いたり、水中を泳ぐことはできなかったと考えられている。現生の原始的な動物グループ(スポンジや珊瑚など)も、基本的に泳ぎ回ることはできない。(注:以前紹介した「Parvancorina(パルヴァンコリナ)」のように、この時代に動性を手に入れていた可能性のある種が最近指摘されている。) 今から約6億年前の海の底はどのような景色をみせていたのだろうか? 現在の生物相とは大きく異なっていたのは間違いないはずだ。水中を泳ぐ魚や海底を這い回るエビやカニ、そして海底の岩にへばりつくイソギンチャクや貝の仲間などはもちろん見られない。(まだ近縁の仲間やその直接の祖先さえ現れていなかった。)現在の海底のイメージと比べると奇妙なくらいに「物静か」だったはずだ(以前紹介した記事参照)。 一見かなり奇妙に見えるエディアカラン生物群における「最古の動物」たち。そのためこうした化石種の分類を行うのは、古生物学者にとってもはかなりのチャレンジが伴う。時には絶望的でさえある。(小さな戦闘機に載って宇宙の彼方にある悪の要塞「デス・スター」に立ち向かうように)。まるで知られていない「原始的な新しいグループ」に、とりあえず組み入れられることも多い。