【木村カエラ】44歳、私が選んだ今とこれから。「子育てと音楽活動の両立はやっぱり大変」30代で 生まれて初めての“スランプ”を経験
「幸せなはずなのに、苦しかった」 心を閉ざしてトゲトゲになった20代前半
そこからは自分を取り巻く環境や状況がめまぐるしく変化。たくさんの人が私の曲を聞いてくれるようになって、大きな会場でライブができるようになり、いろんな音楽番組にもよんでもらえて……。毎日があっという間に過ぎていきました。それこそ、あちこちの記憶がポンと抜け落ちてしまっているくらい、あの頃は本当に忙しかった。 そんな私だけど、今もしっかり色濃く残っている20代の記憶がいくつかあって。そのひとつが“初めての日本武道館単独ライブ”なんです。なかでも忘れられないのが、準備中の会場で、たった一夜のステージのために働いてくれている大勢のスタッフの姿。あの光景を見た時に「ああ、私のためにこんなにも沢山の人が動いてくれているんだ」って、自分でも驚くほど心がぶるぶると震えました。 デビューするという夢を叶えてからは本当に幸せで楽しかったんですよね。でも、出会う人が増えて、いろんなことを言われて、良くも悪くもたくさんの人に評価されて……それが、つらいと思うこともあって。どんどん心が敏感に繊細になってしまい、気づいたら楽しいけどつらくて、幸せなはずなのに苦しくなってしまったんです。あの頃の私は周りに壁を作ってしまい、心を閉ざしてしまって、勝手にひとりぼっちになっていたから……。でも、そうじゃないことを武道館の光景が教えてくれたというか。あの時に思えたんだよね、「音楽も、人生も、幸せになるためにはひとりじゃダメ。自分のことばかり見ていないで、ちゃんと周りを見ろ、私!」って。 そこから、私の音楽も変わりました。最初の頃は「自分をわかってほしい」という気持ちがすごく強かった気がするんです。それこそ、デビュー曲の歌詞に「Hey! you listen!(聞いて!)」と書いたり、デビューアルバムのタイトルに『KAELA』と自分の名前をつけてしまうくらいに(笑)。そんな自分だったから、あの時だからこそ生まれた曲もあって、それはそれですべてが私にとっては大切な宝物なのだけど。心を開いてからは、音楽が自分だけのものではなくなったというか。たとえば、「Butterfly」もそのひとつ。誰かを思い、誰かに寄り添い、思いを共有するように歌う……。心の向かう先がどんどん広がっていって、音楽の世界も豊かになった気がします。
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