「ツイッター離れ」やイーロン・マスク批判では解決しない…SNSが「怒り」と「対立」を引き起こす“根本的”な原因
Blueskyはツイッターの代わりになるのか
――ツイッターに代わるソーシャルメディアとして「Bluesky」が期待されています。 津田教授:私もBlueskyのアカウントを持っています。先ほどログインしたら、「この場はツイッターに比べてとても平穏で安心する」といった投稿を目にしました。でも、もしツイッターが無くなったら、今度はBlueskyに人が集まり、平穏さはあっという間に失われてしまうでしょうね。 現代では、ひとつのプラットフォームを見ているだけではメディアの全体像が把握できません。たとえば、2010年代前半にも「ネット炎上」が盛り上がりましたが、その時代の炎上の火付け役は「2ちゃんねる」でした。2ちゃんねらーの人たちがツイッターのユーザーを監視して、問題のある行動をする人がいたら炎上させる、という構図があったわけです(いわゆる「バカッター」)。 ところが、匿名掲示板の影響力が低下するにつれて、ツイッターのほうが炎上の火付け役になりました。最近ではInstagramやFacebookやTikTokで問題のある行動をした人がツイッターのユーザーに炎上させられる、という構図になっています。 Blueskyのように平和で炎上しづらい、「燃えにくい」ソーシャルメディアを作ったところで、解決策にはならないでしょう。結局、別のソーシャルメディアのユーザーによって監視されて、スキがあれば炎上させられるわけですから。 すごく悲観的な意見ですが、炎上や個人攻撃はこれからも無くならないと思います。ある程度までは「仕方がない」と割り切るしかないでしょう。もちろん、度を過ぎた嫌がらせに対する歯止めは必要ですが……。 ――Blueskyのように「収益化をしない」「引用リツイートを非表示にする機能を持たせる」など、プラットフォームの仕様を変えるだけでも嫌がらせなどを多少は是正できると思います。 津田教授:収益化をなくせばインプレッション稼ぎのためのデマの蔓延が収まるなど、細かい部分では仕様の変更によって問題に対処できるとは思います。 一方で、ツイッターにはさまざまな対立軸が存在しており、乱暴な議論を行う人が登場するという問題は、仕様ではなくユーザー数の多さに起因しています。 プラットフォームに一定数以上の人が集まったら、仕様に関係なく、荒れるのは仕方がないと思います。