伝統の直列4気筒エンジンを積む、最強ネイキッドCB1300SF
CB1300SFは、登場から20年以上が経過しても色褪せることないセールスを続ける稀有な存在だ。現在販売されているモデルは2代目となるSC54型だが、CB1000SF、SC40型とキープコンセプトのままモデルチェンジを重ねることでその地位を不動のものとした。 【画像】CB1300スーパーフォアのディテールと関連モデルをギャラリーで見る(23枚) 文/Webikeプラス 後藤秀之
ホンダのトップモデルとしての定めを背負い、進化を続けたCB
ホンダにおける「CB」とは、メーカーを代表するスポーツバイクに与えられる名前であり、1980年代までは常に前だけを見て進化をづけた。ただ、バイクのジャンルの多様化と、ユーザーが求めるバイクの中で徐々に枝分かれしていく。 1960年代、SOHCの直列4気筒エンジンを搭載し、時速200km/hというスピードの壁を破った「ドリームCB750Four」は、「CB」という名前を世界最高峰のバイクの中の一台に加えた。続いて1970年代にはエンジンをDOHC化し、排気量も最終的に1100ccまでアップすることになるCB750/900Fシリーズへと進化し、フルカウルを纏ったCB1100Rもラインナップされている。 1980年代、レースにおいてはV型エンジンの開発が進み、CBと並んでVFシリーズをラインナップ。CBはコンパクト化された空冷DOHCエンジンを積むCBX750Fに加えて、新しい水冷エンジンを積むCBR750/1000F系へと枝分かれを始める。「スーパーエアロ」コンセプトを掲げたCBR系はトップスピードや高速安定性を追求した今で言うスポーツツアラーであり、サーキットで活躍するようなバイクではなかった。ただ、この水冷DOHC4気筒エンジンはカムギアトレーン(残念ながら750ccのみではあるが…)を採用するなど、ホンダらしい当時の最先端技術を詰め込んだモデルであった。
ネイキッドバイクブームは、原点に戻った新しいCBを生み出した
1980年代はカウル付きバイクが一気に増えてバイクブームが加熱し、250~400ccを中心としたレーサーレプリカが爆発的に販売を伸ばした。そんな1980年代が終わりを告げる1989年、レーサーレプリカブーム一石を投じるバイクが発売される。カワサキ ゼファー、スズキ バンディット、そしてホンダ CB-1という後の「ネイキッド」カテゴリーの始祖となる3台のカウルレスバイクである。それぞれコンセプトの異なる3台のカウルレスモデルの中で、最も人気を博すことになったのはZ1由来のクラシックスタイルを持つゼファーであった。 CB-1で模索した新しいスタンダードバイクのスタイルではあったが、ホンダの中でも過去のCB系モデルのスタイルを現代の技術で復活させるというプロジェクトが始まっていた。「PROJECT BIG-1」と名付けられたそのプロジェクトは、1992年に1台のバイクを世に送り出した。CBR1000F系のベースのエンジンを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載し、ツインショックタイプのリアサスペンション、そして過去のCBシリーズのエッセンスを各部に纏ったデザインを持つそのバイクはには「CB1000SF(スーパーフォー)」という名前が与えられた。 CB1000SFは現在のバイクカテゴリーで言えば、「ネオクラシックスタイルのネイキッドバイク」ということになるのだろうか。スペックを追い求めてCB、CBX、CBRと進化してきたCBの血統だったが、原点に近い形の現代的ネイキッドモデルとして「CB」というネーミングを復活させたのである。さらに1992年にはスーパースポーツCBR900RRファイヤーブレード、1996年にはCBR1000XXスーパーブラックバードがラインナップされ、「CB」の血族は再びホンダのメインストリームとなったのである。