貧困家庭出身、一人暮らしで“推し活”→世界の見え方が変わった 「死ねない理由」ヒオカさんインタビュー
「貧困でも夢を諦めなくていい」
─── 「貧困でも夢を諦めなくていい」という言葉も印象的でした。貧困世帯出身でフリーライターになったヒオカさんは、夢を追いかけるのも大変だったのでしょうか。 経済的な理由で、多くの人と同じ土俵に上がれない人たちがたくさんいます。社会は、そんな環境でも夢を叶えた人には「貧しい中でよく頑張った」「素晴らしい」と評価しますが、その途中にいる人や目標まで辿りつかなかった人は「貧困を選んでる」「だから言わんこっちゃない」とボコボコにされてしまう。 でも、誰でも夢を目指す権利は平等にあるわけです。別に叶うかどうかではなくて、極端な話、夢を追いながらワナビーのまま死んだっていいはずなんです。 私は「自衛隊に入れば衣食住を整えてもらえますよ」といわれたことが何度かあって、それが善意でいわれていることが怖いなと思います。必要なのは「貧困家庭出身の人でも、他の人と同じ選択肢を持てる環境を整えること」であって、「(限られた)その手札の中でどうにか生きろ」と突き放すことではありません。 経済環境に関わらず、夢に向かう若者を応援できない、夢を叶えた人だけを評価する結果至上主義の社会ってなんだか寂しいですよね。もしかしたら、叩いている人には「挑戦的な生き方をしたかったな」みたいな憧れや嫉妬もあるのかもしれません。 推し活の話に戻りますが、私にとっての推しは、社会からのいろんな圧がある中で「自分の生き方に率直な人生」を送っていて、その生き方を通して、「本当はどういきたいの?」って私に問いかけてくれる。その答えを自分の中から引き出してくれる存在でもあるんです。 ──“推し”の生き方そのものが、ヒオカさんを鼓舞してくれる。 こんな風に話していますが、やっぱり気負けしそうになることも結構あるんですよ(笑)。 もちろん、フリーライターとして以前よりも少し安定した生活ができているのも、今まで出会ってきた経歴や肩書きで人を判断しない、結果至上主義ではない人たちの存在があってこそです。私がまだ派遣すら断られるようなフリーターだった頃から「夢を目指してるあなたはクール」「バックグランドを隠さないあなたはロック」と言ってくれた人や、今は読者としても応援してくれる人たちにすごく感謝しています。