大谷翔平が会見で発した心に残る名言…二刀流スターが日米の国境を越えて愛されている理由が見えた
エンゼルスの大谷翔平が15日、東京千代田区の日本記者クラブで記者会見を行った。二刀流スターとして全米を震撼させた今季を振り返るだけでなく、古巣日ハムの新庄剛志監督への期待、婚期のタイミングから税制問題まで多種多様な質問のひとつひとつに丁寧に答え、その中には心に残る名言があった。トミー・ジョン手術などの苦難を乗り越えてきた27歳。グラウンドでの活躍に比例するように人間性にも深みが出てきた。
「(お金を)消費することがないので貯まっていく一方」
会見の冒頭、大谷の方から3年ぶり3度目の日本記者クラブで会見を行うことへの説明があった。MVP最有力となる活躍を見せた二刀流スターの帰国に際して各社の取材が殺到したため公平に対応しようと日本記者クラブでの会見に応じたという。帰国後、自宅での2週間の自主隔離期間に入ったが、昨日、それが解禁されると、真っ先に会見に出席した。ここにも大谷の人柄がよく出ている。今回の会見が開かれた経緯に加え、約1時間の記者会見に参加したのは、オンラインも含めて、スポーツメディアだけでなく、地方のテレビ局や、地元紙から、子供新聞まで、幅広かったため、当然、その質問も多岐にわたった。 家庭を持つタイミング(婚期)については「良きタイミングというか、そうなるようにしかならないものだと思う。もう少し先? 今のところはまだまだ先じゃないかなと思っている」と名回答。 高額納税者としての税金についての意見を聞かれ、「ロスは税率高いので自分の稼いでいる半分ちょっと多いくらいは納めないといけない。それは納めるし消費することはあまりないので今のところは貯まっていく一方」と返して会場を爆笑に包んだ。 古巣の日ハムの新監督に新庄剛志氏が就任したことに対しては、「単純に面白い。わくわくして見る人たちが(増えると思う)、野球を知らない人でも、そういう人が増えれば楽しい。古巣とか古巣じゃないとか関係なく単純に楽しんで見たいなと思っている」と返答。スポーツ紙ならば、このコメントだけで1面を作ることができるだろう。 ポスティングによるメジャー移籍が濃厚とされる広島の鈴木誠也についても「活躍できると思うか?」の質問が飛んだ。広島の正式なポスティング発表は日本シリーズ後になる予定で、まだ公には何ひとつ表明されていない。「わからない」だけで済ませても無理はなかったが「行ったときの数字というのは正直予想できない。自分自身ですら予想できない。毎年毎年レベルも上がっているし、同じことをやっていては同じような成績は残らない。僕自身も今年と同じようなことをやっていても来年同じような成績が出るかと言えばそうではない」と、自分自身に重ね、丁寧に「今のプロ野球の中では頭抜けているぐらいの方。実際に向こうで対戦する機会があれば、それはそれで楽しみですし、やってみたい」とまで話したのには感激した。 機転を利かせ、時にはユーモアをまじえ真摯に対応した1時間の会見で、大谷の哲学や思考だけでなく、人としての優しさや、思慮深さまでが浮き彫りになった。そして、その中に心に残る名言があった。