大谷翔平が会見で発した心に残る名言…二刀流スターが日米の国境を越えて愛されている理由が見えた
今年はそこにどれだけ近づけたのか? 「足りなかったなというところは、たくさんある。ただ、その目標に向けて確実にレベルは上がったかなと思う。そこは自信を持って言える。何をもって1番なのかなっていう、少しあいまいなところではあると思うので、そこがまたよかったりする。これからも目指していきたい目標ではある」と、あえて目標設定を抽象的な表現にとどめた理由をも明かした。 目標という言葉は、子供たちへのメッセージを求められた話の中でも出た。もうひとつの名言は、ここにあった。 「プレーする側としては、夢を与えようとか、元気を与えようというのは、まったく考えていない。そう受け取ってもらえたらうれしいと毎日頑張っている。そう受け取ってくれるのは、その人がそういう感覚を持っているからなので、そういう純粋な感覚があるならば、それは素晴らしいこと。 特に野球をやっている子は、うまい選手を目標に頑張ると思うので、僕自身、それに値するような、目指されても問題のないような人間として、今後も頑張っていきたい。そうなるように子どもたちのことも応援している」 筆者は、ずいぶんとひねくれているため、アスリートが「勇気を与えたい」「元気を与えたい」と語る常套句に、うんざりすることが多かった。それはきっと本心に違いないのだろうが、言葉が上滑りして聞こえることも少なくなかったからだ。だが、大谷はそうとは語らなかった。本音と彼の信念が見事に表現された名言だったと思う。 大谷は、再度投げかけられた質問にも嫌な顔ひとつせず、こう答えている。 「野球をやっている子どもたちへのメッセージに関しては、正直、小学校・中学校で伸び悩むということはないと思うので、それは心の持ちよう。必ずうまくなりたいという気持ちがあれば、必ず伸びる時期。そう思うメンタリティーの方が問題。 高い目標を持って、こうなりたいなという選手の目標みたいなのを持っていれば必ずよくなる」 メジャーに渡り、トミー・ジョン手術を余儀なるされる苦難の時間を乗り越え、今年二刀流スターとして輝いた大谷の軌跡を見ると、その言葉にいっそう真実味が増す。日本時間19日には最終エントリーの3人のうちの1人に残り最有力とされるMVPの発表がある。 どこで発表を待つのか?の質問に「どこなんでしょうね、わからないです」と笑った。この日、唯一答えをはぐらかしたは、このやりとりだった。彼が日米の国境を越えて愛されている理由がわかった1時間だった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)