大谷翔平が会見で発した心に残る名言…二刀流スターが日米の国境を越えて愛されている理由が見えた
ひとつは、メンタルの整え方について「落ち込むことがある」と告白した話の中にあった。 「落ち込んだりもする。今年の最後の方なんかは、メジャーに来てから一番、精神的に(きつかった)というか、なかなかチームに勝ちもついてこないしポストシーズン…その先が見えてこない中での戦いが多かったので精神的にきつい場面が多かった。打てない、打たれたとかで落ち込んだりすることもある」 今季チームは、77勝85敗の成績に終わりア・リーグ西地区4位に沈みポストシーズン争いとは無縁だった。同地区トップのアストロズとは18ゲーム差もつけられた。マイク・トラウトの長期離脱があり、大谷が46本を打ったもののチーム本塁打数190本はリーグ11位。大谷さえ四球で歩かせておけば打線を分断することができた。本塁打王争いをしていたブルージェイズのゲレーロJr.が熾烈なワイルドカード争いの中で本塁打を量産していたのとは対照的だった。 さらに投手陣はふがいなくチーム防御率は4.69で、こちらはリーグ12位。「投手・大谷」がゲームを作った後に救援陣が崩れる試合も目についた。ベーブ・ルース以来となる「10桁本塁打&2桁勝利」を狙った9月26日(日本時間27日)のマリナーズ戦は7回を投げ1失点10奪三振と好投したが、降板後にリリーフが打たれチームは1対5で敗れている。その試合後、フラストレーションは溜まるか?と聞かれた大谷は「あります。もっと楽しいヒリヒリするような9月を過ごしたい。クラブハウスの中もそういう会話で溢れるような9月になるのを願っている」と本音を漏らし、今のチーム状況でも残留を望むのか?との2年後のFAを見据えた質問にも「ファンの人も好きですし球団自体の雰囲気も好き。ただ、それ以上に勝ちたいっていう気持ちのほうが強い。プレイヤーとしてはその方が正しいんじゃないかなと思っている」と語り、全米メディアは「移籍を訴える」と大騒ぎしたが、それほどモチベーションを保つことに苦労したのだろう。 だが、大谷の心の持ちようは、こうだった。 「メジャーは、毎日、毎日、連戦、連戦なので、良かった、悪かったの結果が必ず出てくる。今日は良かった、今日はここが悪かったとかが出てくるのは、幸せなことだと思っている。普通の生活では味わえない経験をさせてもらうのがうれしいこと。試合に出るからこそ、そういうものがある。試合に怪我で出られないこともあった。落ち込むことも含めていい1年だったと思っている」 名言だった。 さらに落ち込んでも立ち直る原動力は何か?と問われて、こう続けた。 「一番は球場に足を運んでくれているファンの人。結果が出る、出ないにかかわらず来てくださるファンがいるし、そういうファンの方が喜んでいる姿をみたい。あとは、こうなりたいという目標に対して、あきらめきれない気持ちがそうさせてくれる。日々の練習もそう。目標がそういう気持ちにさせてくれる」 大谷が花巻東高校時代から目標設定シートに目標を書き込んできたのは、有名な話だが、今もなお大きな目標を設定している。 「世界で一番の選手になる」という目標である。