卓球・張本美和選手、覚醒への新発見 松岡修造さん「こんなドラマチックな話ない」
今年、張本美和選手(16)は大活躍でした。パリオリンピック卓球女子団体は銀メダル。そして10月に行われたアジア選手権では、あの中国の壁を50年ぶりに破りました。 【画像】「急に降りてきたサーブを」張本美和選手が語る初めての経験 その破った大きな壁は、世界ランクは1位のソン・エイサ選手(24)。オリンピックと世界選手権で10個の金メダルを獲得しているという中国の大エースに勝ち、張本選手は大きな“あるもの”をつかみました。
■張本選手「新たな発見だなと思いました」
10月、張本選手が世界を驚かせました。世界ランク1位のソン・エイサ選手に見事逆転勝利。大金星をあげました。 松井修造さん 「これはソン選手に勝ったという事実。それによって、何を掴んだ?」 張本選手 「チャレンジが前よりできるようになった」 松岡さん 「チャレンジするってこと?でも“美和チャレンジ”は、今まで何でしなかった?」 張本選手 「これまでは、自分がやってこなかった技術をやることに対して怖さがあった。新たな発見だなと思いました」 「新たな発見」があったというのが、第3ゲーム。2ゲームを先取され、後がない張本選手。しかし、この直後でした。張本選手が出したサーブに、ソン選手がレシーブミスをして首をかしげています。 張本選手は、何をしていたのでしょうか? 張本選手 「サーブを構える前に何出そうって思った時に、ベンチから言っていただいたサーブではなく、急に降りてきたサーブを出した。1、2ゲームまでは横回転サーブのように回転をつける。縦回転サーブに変えて得点できるのは初めての経験。気付いたら、縦回転のサーブの構えになっていた」 横回転サーブから、縦回転サーブへ。その違いを実際に見せてもらうと、まず、試合前半に出していた、横回転サーブ。打ったサーブは曲がります。 一方で第3ゲームで出した、縦回転サーブはバウンド直後に止まります。実は縦回転のサーブは、これまで試合で一度も使ったことがないサーブだったのです。
■ソン選手から学んだ…フォアハンドの大切さ
世界一位の選手相手に、なぜあえて初のサーブを出したのでしょうか? 張本選手 「ずっと同じことやっていれば相手も安心すると思うし、中国人選手相手だと何かを変えて『変わった』と思わせることでミスを誘える。『戦術を出し尽くした』『でも得点したい』となった時に、やってみようという気持ちでやってました。得意じゃないサーブからでも良いパターンになる時もあると気づいた」 松岡さん 「“流れを変えることができた”という捉え方でいいですか?」 張本選手 「はい。できたと思います」 このサーブをきっかけに、その後も新たなサーブを織り交ぜることで流れを掴んだ張本選手。2ゲームを取り返します。さらに張本選手は、この試合でもう一つのチャレンジをしていました。 張本選手 「ビビらずに前より自信をもって、フォアハンドを振れるようになった。今は何も考えずにバックハンドもフォアハンドも振れています」 これまでの張本選手といえば、決め球はバックハンド。中でも、チキータといわれるバックハンドでのレシーブを武器に世界で戦ってきました。対するソン選手は世界一のフォアハンドの持ち主。日本人選手の大きな壁として立ちはだかっていました。 張本選手 「拍手を送りたいじゃないですけど、自分も受けたことがあるので」 松岡さん 「なんだこのフォアって?」 張本選手 「ああいう強いフォアハンドができたら、強くなれるんじゃないかなって思いました」 ソン選手から学んだ、フォアハンドの大切さ。これをまさにソン選手との試合で、見せつけます。こうしたチャレンジこそが、大金星へとつながっていたのです。 松岡さん 「これからどんな卓球を自分の中でしていきたい?そして目標というのは、どう捉えてますか?」 張本選手 「自分が一番強いと思わないような選手にはなりたい。勝ったよろこびは、その時の一瞬でかみしめて。終わったら、次の日練習してというのは、引退するまで続けていきたいなと思います」